第2話

昔からなぜかクレヨンが好きだった


色鉛筆のようなスマートさもなく

太短い単なる色のかたまり

ひたすらベタ塗りで色をつける

大きな画用紙いっぱいに

夢中でいろんな色を乗せていた


端から見ればぐちゃぐちゃなそれは

自分にとっては大切な作品で

色が増えるごとにワクワクして

混ざり合うその境界線をひどく愛しく思った


自分だけの楽しみ

自分だけの喜び


それなのにキミが「きれいだね」なんて笑うから

「とくにその青と紫の混ざり合うところ」

なんて同じことを思うから

もう無様に泣くしかなくて


クレヨンまみれの両手を握るその温度に

そのとききっと、恋をした



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