第6話

しんと冷えた部屋

コンクリートに響く靴音

その日のことを思い返して

一番に思い出すこと


少し色褪せた紙は

大きな一枚のカレンダーだと

今更ながらに気づいた

意味のない数字の羅列


そこで告げられたのは

僕には何の価値もないということ


いらないひとつの命で

意味のある命を救うのは

たぶんいいことなんだろう

単純な計算問題

常にそれはマイナス1でしかなくて

そのマイナス1のうちの一人に

僕の命は選ばれたのだ


僕の目が内臓が手が足が

「意味のある」人たちを救う

ただそれだけのこと

ただそれだけのために

生かされた命


告げられた真実に

僕は微笑み頷いた 

そして心でつぶやく



クソ喰らえ

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