ロボットマンSS:モミジ編&マリ編

 =私にとってのユー君=

 

 Side 秋篠 モミジ


 私にとってユー君(真進 ユウト)は初めて仲良くなった男友達。


 周りの男の子よりしっかりしていて、特別仲は良かった。


 私の親は仕事などの関係で家族ぐるみでお付き合いしていた。


 そこにマリちゃん(四葉 マリ)が加わったりして「こんな日々が永遠に続けばいいな」と思った。


 だけど時間の流れは残酷で男女の壁とかクラスの陽キャとか陰キャとかで仲は離れてしまいました。


 そうして学園生活では陽キャを演じてやりたい事、したい事が出来ないジレンマに悩まされました。


 私はよく周りから男子にモテるとか言われてるけど――それだけなんだと思った。

 

 ユー君とマリちゃんは家のお付き合いや学校での立ち位置が似ているせいかどんどん仲良くなっていった。


 特に"Xディ"――初めて地球にMEが襲来したあの日を境に。


 最初はユー君はヒーローだった。


 だけど段々と文句を言う人が増えた。


 人はどうしてこんなに身勝手なんだろうと思った。


 私は我慢の限界だった。


 ユー君は何時もしんどうそうだった。


 色々と頑張って助けた。


 弁当作ったりとか、なるべく周りの人から遮断するように会話したりとかそう言うの。


 うざがられたりとか思われてないか心配だった。


 だけど努力むなしく学校から去った。


 マリちゃんも学校に来なくなった。


 見掛けたのはユー君のお家でだった。


 マリちゃんによるとユー君は家にも帰ってきてないらしい。


 色々とあったけど、私達は通い妻のようにユー君のお家に通うようになった。


 その流れで私は森川さんと言うユー君の護衛をしている人――だけどユー君は基本、基地に引き籠もっているので仕事がなくて暇な人と知り合いになってあーだこーだとユー君の事について色々と話を聞きました。


 ユー君は命懸けで世界を守るために頑張ってる。


 文句を言わず頑張ってる。


 だけどユー君が心配だった。


 相変わらず皆はユー君の事を好き勝手言うけど、あの子は私達と変わらない人間。


 運動会とか授業参観の時とか父親と母親がいないのを気にしたり。


 おじいちゃんの発明とかで困っていたり、その発明に群がる大人達に振り回されたり。


 そのせいかマリちゃんと同じく大人びて、捻くれた子になったけど。


 それでも、ロボットマンに乗っても何だかんだで優しいユー君は失われていませんでした。

 

 短い時間の再開だったけどそれが分かってよかった。


 だけどとてもHな気分になって――あのままだったら私とんでもない事しそうだった。


 マリちゃんも同じ気持ちだったみたい。

 

 だけど、そうしたかったなってちょっと心残りがあるし、続きをしたかったのもある。


 とととと、ともかく、頑張って、ユー君。


 私とマリちゃんは信じてるから



 =人殺しの娘=


 Side四葉 マリ   


 私は人殺しの娘らしい。


 親が軍事産業に手を出しているからだそうだ。


 人殺しの道具を作る人間は人殺しと言う人間であれば世の中、人殺しだらけになるだろう。


 だけどそんな常識を説いても、大人数で大声で喚き立てればそれが正義になると本気で信じている連中が相手だった。


 逃げるように学校を転校し、そして別の学校に辿り着いて家族ぐるみの付き合いをしている真進家――そして私の理解者、真進 ユウトと出会った。


 彼も人殺し呼ばわりされているからだ。


 なんでもロボットを軍事転用して軍事兵器の道具にしようとかなんとか。


 じゃあ"ロボットではなく、人間ならいいのか?"と言えば平和主義者達は≪話し合い≫で解決すればいいと思う。


 今の時代、それが出来れば苦労しないなんて子供でも分かる。


 そんな連中と終わりなき口論、言い負かされたら陰湿なイジメや暴力で訴え出る連中との果てのない戦い。


 その傍には彼が――ユウトがいてくれた。


 モミジもいたが、彼女は私とユウトと違い、普通の感性の人間だったらしく、高校生になってからは身の安全やクラスに馴染むことを優先して疎遠になる。

 

 モミジとは≪Xデイ≫から暫く立ってようやく復縁した。


 もっとも「今更なに?」と私はイヤミな言葉を投げかけたが。


 ケンカもした。


「あいつがどんだけ苦しんでたか分かってるの!? いまさら彼女面!?」


「分かってるよ!! でも、でも、放っておけないんだもん!!」


「私だってそうよ!! でもあいつはもういないのよ!! 住んでる世界が文字通り違う場所にいちゃったのよ!?」


「だけどマリちゃんも――ここに来れば会えるかもって、そう思ったんでしょ?」


「それは――」


 そんなやり取りをユウトの家の前でした。

 

 それから私は学校を不登校になり、退学を視野に入れて通信制の高校に入ることを考えて無人のユウトの家に通うことになった。


 ユウトの祖父は何を考えていたのか、私とモミジに鍵を渡していたようなのだ。

 

 その事に不満もあったがそれよりもちょっとドキドキした。


 家の掃除とか、密かにモミジとお泊まりとかしたり。


 そうして二人で時間を過ごしているウチにお互いユウトの事が好きなんだって理解した。


 どっちが告白するか、どっちが先にキスするとかHするかとか色々と話したりもした。正直はっちゃけ過ぎてると思ったが、いいストレス解消にはなった。

 

 ユウトを悪く言う人達の文句も言い合った。


 ロボットマンに乗ってから高校通いを続けていた間、ずっと文句の言い合いをしていたこととか、


 まるでロボットマンに守って貰うことが当たり前なクラスメイトに憤慨したり、


 私が軍事産業の娘だからと落ち目になってるんじゃないかとか、ロボットマン目当てでユウトに近付いている悪女扱いされたりとか、


 モミジも「クラスメイトとはもう上手くやっていける自信がない」とか、「どうしてこんなに身勝手なんだろう」とか怒って悩んで悲しんで――


 こんな身勝手な人間ばかりの世界でもユウトは戦い続けるんだろうと思った。


 根っこは優しいから。


 ユウトと久しぶりに会った時、私は嬉しかった。


 モミジも嬉しかった。


 短い時間だったけど、自分の気持ちを伝えられて、ユウトの気持ちも知れた。


 もっと長い時間入れられたらよかったけど、MEの襲来がなかったら例え人目があったとしても、モミジと一緒にHなことをしてしまったかもしれない――それは無くてもディープキスのやり合いぐらいはしてしまいそうな、そんな雰囲気だった。

 

 モミジもそんなHな雰囲気を纏っていた。


 私は戦いに向かうユウトの背中を見送ってモミジに「お互いやらしい女ね」と言った。


 モミジは「えへへへ、そうだね」と照れ隠しに笑った。


 ユウト、無事でいてよ。死んだら承知しないんだから。

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