短編:ロボットマン~世界の平和を守るのは大変です~

MrR

自分の近況とかあれこれについて


 何時の頃からか。


 この星には謎の巨大ロボットの侵略を受けていた。


 ただ分かる事はそいつらは宇宙からやってくるらしいと言うことだ。


 機械の侵略者。


 謎の敵。


 何時しか彼達はME(マシン・エネミーの英語表記、頭文字の略称)と呼ばれるようになった。


 それに対抗できるのは現時点で僕の巨大ロボット、ロボットマンだけであった――



 Side 真進 ユウト


 僕は遂先日まで普通の学生だった。


 だけどある日、ヤツラはやって来た。


 ME。


 全高 五十m前後の謎のロボット。


 戦車や戦闘機、イージス艦の攻撃すら物ともしない強固な装甲に覆われ、ネット上ではマジン○ーZぐらいの装甲はあるんじゃねえか? とか言われている。


 それでいてMEのマシンは何というか平成通り越して昭和の敵ロボット風な外観をしている。

  

 基本人型であり、鈍重そうな外観に関わらず機動性もある。


 世界各国の軍隊は頑張って抵抗して――後から知ったが核兵器使用寸前まで行った国もあったらしい。


 そうせずに済んだのは僕とロボットマンと言うちょっと角張っている昭和の赤いツインアイの戦隊ロボットみたいな巨大ロボのおかげだ。


「本当にどうしてこうなったー!?」


 夕焼けの空の下。

 

 現在僕は敵のMEと殴り合いをしている。

 しかも相手は複数体である。 

 叫ばずにいられようか。


 場所は眼下に木々が広がる、人気がない場所。

 五十m同士のロボットの殴り合い。


 その合間、合間に目や胴体から光線、ロケットパンチなどで応戦し、敵の攻撃をバリアで防ぐ。


(マジでふざけんな!? 剣とか盾とかもっと武器仕込んでよ!?)


 などと思いつつ殴り飛ばして敵の一体を粉砕する。


 自衛隊の戦闘機や戦闘ヘリが囮の役割をしてくれて頑張ってくれているがチョロチョロとマスコミの戦闘ヘリが飛び回るのはとてもうっとおしい。

 

 あいつら勝手に戦闘に参加しているクセにいざ危険な目にあったら批難するからタチが悪い。


 何度も見捨てようかと思ったが自分は想像以上に善人だったらしい。


(とにかく手っ取り早く片付けるしかない!!)


 真進 ユウト。


 僕の高校生活は敵の侵略と一緒に死にました。




  

 元々ロボットマンがお爺ちゃんの発明です。

 

 お爺ちゃんは超天才科学者の割には普通の暮らしをしていて周囲から不思議がられていたそうだ。


 答えは今なら分かる。


 なにしろお爺ちゃんはロボットマンの建造費とその整備施設を作るために発明の遺産を溶かしたからだ。


 現在はロボットマンの基地と言えばいいのか、そこは自衛隊などの共同管理のような形になっている。


 てかなった。


 今の時代、50m級のロボットが出入りしていれば遅かれ早かれこうなるわ。


 最初、僕はもう「自衛隊に全部丸投げすればいいんじゃないか」と思ったが何を血迷ったのかあのお爺ちゃん、ロボットマンは自分にしか動かせないようにプログラミングされているらしい。   


 まあそう言う設定にしたのは何となく分かる。  


 やはり人類の敵は人類だったか的な展開を避けるためだろう。


 俺の青春は死んだけどね(泣


 地球の命運とたった一人の少年の高校生活。


 どっちを犠牲にすればいいのかなど分かる。


 自分が戦わなければ地球のどっかがヘタすれば核兵器で焼け野原だ。


 侵略者も侵略者だが地球人も地球人だ。


 どっちも893だ。


「また出撃か――」


 アラートが鳴り響く。

 自衛隊の手で要塞化が進みつつあるお爺ちゃんロボットマンの格納庫周辺。

 そこにある待機室で通信教育を受けながら俺は今日も出撃する。


 一応給料とか色々と振り込まれてはいるらしいのだが正直使う機会がないし遊ぶ時間もないのでどんだけ貯まってるのか知る由もない。


 まあ今の自衛官も似たようなもんらしいが――こんな状況下でも領空、領海侵犯する暇な国もあるらしい。


 ご苦労なこったと俺は死んだ社畜のような目で出撃した。





 ロボットマンの最高速度はマッハ20以上だよ!(時速換算:24696km)


 すごーい!


 地球を2時間以内に一週できるね!


 ちなみに超音速ミサイルはマッハ10!


 超音速無人機でマッハ20とかだよ!



 まあ周辺の環境に配慮してそこまで出せないケースとかあるけどね。


 え? 俺はGで死なないのかって?


 慣性制御装置で大丈夫なんだって。


 便利なシステムだわ。



 そうして超スピードで大気圏離脱→突入をして目的地であるアメリカのニューヨークに到着。


 宇宙はもうコンビニ行く感覚でいけるわ。宇宙の飛行士の皆さんごめんなさい。



 1時間どころか十分もかかってねえわ。


 それと当然だけど時差とか狂うわこれ。


 日本との時差は10時間。


 日本が昼の12時だったらアメリカのニューヨークでは夜の10時だからな。


 出撃したのが夜中の七時ぐらいだから今のニューヨークは朝の5時だ。



 とりあえずアレだわ。



「死ねええええええええええええええええええ!!」 


 マッハの速度から徐々に速度を落とし、そして周辺の環境に配慮した速度になった相手に組み付き、至近距離で相手の胴体をバリアフィールドを張った拳で貫く。

 ふう、まず一機撃破。


 そろいもそろって昭和の悪役メカ然としている敵のロボット軍団を片っ端から襲撃をかます。

 

 それとアメリカ軍の皆さんご苦労様です。


 望遠レンズで見たけどノリがいいなアメリカの人達、大熱狂だよ。

 

 軍民問わず、バンザイしながら声援送ってくれてモチベーションは凄くあがる。

 

 破壊活動しているロボットも自分を脅威とみなしたのか次々と襲い掛かってくる。


「上等だ! 死ねえ!」

 

 ロケットパンチ、目からレーザー、胸部からビームなどを一斉発射する。 


「ははははは!! 敵がゴミのようだ!!」


 などと泣きながら高笑いする。

 

 ワシ一応高校生やで?


 なんでワシこんな事せなあかんの?


 ブラック企業に就職するってこう言う事なんやな。


 大人になるっていややわ~(白目)





 朝から既にお爺ちゃんが作ったロボットマンの格納庫。


 その周辺では自衛官達が訓練をしている。


 自衛隊の皆さんご苦労様です。



 技術職の人達も大勢いて、日夜ロボットマンや敵のMEの残骸を開発して物にするために頑張っているそうだ。


 世界各国でもそう言う流れは起きていて、第三次大戦開幕を連想させるような状況らしい。

 

 やはり人類の敵は人類だったのか・・・・・・


 

 ともかく日本の技術者達には頑張ってほしい。


 頼む。



「大丈夫か?」   


「大丈夫に見えます?」



 心配そうに尋ねる護衛の一人兼訓練教官の大文字 豪さん。


 男らしい面構えやガッシリした体格、名前を見ると昭和のロボットアニメの主人公張れそうだ。


 是非俺と変わって地球を守ってくれ。


 それを本気で言ったら神妙な顔つきで「すまん・・・・・・」と返された。


 うん、分かってた。


「それよりも敷地の外も賑やかですね・・・・・・」  

 

「ああ、あれなぁ・・・・・・」    

 

 豪さんも困った様子で敷地の外に集まる反対集会――いわく、ロボットマンは平和の敵だ、ロボットマンの軍事利用を反対、MEと和平交渉するべきだ。

 と、暇な大人達が集まって抗議していた。

 その傍にはマスコミがいる。


 日本は平和らしい。



「てか訓練しなくてもいいの?」


「いや、俺が止めるように上申しておいた。君は働きすぎだ。万が一倒れられたら困る」


「うん――ごめん」


「君が謝ることでは――」


 豪さんに申し訳なく言われてしまった。

 この人も色々と苦労してそうだ。

 

「確かに今はとても大変だよ。正直何度か投げ出したいと思ったし、逃げようかとも思った。だけど誰かが戦わないと大勢の人が死ぬ。自分のワガママでそうなるなんて――考えただけでもゾッとしますよ」


「・・・・・・自衛隊も、技術班も頑張っている。そうすれば――」


「ええ、分かってます。実戦に投入できるのは?」


「年内を目指しているが――難しいだろう」


「うん。当分はこの生活ですね」


 当分この生活は続くらしい。 

 最悪一年以上は覚悟しといた方がいいだろう。


(しかしお爺ちゃんも何者なだろうなぁ・・・・・・)   


 お爺ちゃんは天才科学者で謎が多い。

 両親は俺が幼い頃に死んだと言っていたが――どうやら嘘らしい。

 

 MEの襲来を予期してロボットマンを建造し、そのパイロットに俺を選んだ――なぜ俺なんだ?


 ロボットマンをME襲来まで秘匿していた理由は分かる。


 パイロットになった今なら特にだ。


 言っちゃ悪いがロボットマンの技術は今の人類には早すぎる。ミリタリーバランスが崩れて第三次世界大戦コースが容易に想像できる。

 

 だがなぜ俺なのか?


 なぜ行方を眩ませたのかと言う部分は疑問だ。


(まあ考えても仕方ないか)


 そこで思考を打ち切る。

  

 丁度良くまたアラートが鳴り響いた。


「ああ・・・・・・行ってきます」


「ああ。頼んだ」


 ああ。俺の平穏は誰が守ってくれるのかね。

 早くお役目御免になりたい。


 END

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