黒いロボットとメッセージ

 Side 真進 ユウト


 正直色々と最悪な気分だ。


 自己嫌悪で死にそうだ。


 自分の体調を気遣って自分は薬で眠らされて、その間にも基地の皆は命懸けで戦っていたのだ。


 イヤな気分にもなる。


 てかならない方がおかしい。


 だがネガティブに考えるばかりではなく、ここはプラスに考えよう。


 どう言う理由があるにせよ、被害があったとは言え、ロボットマン抜きでMEを撃退出来たのは素晴らしい事だ。


 この時のために頑張ってブラック企業の社畜染みた頑張り(実際のブラック企業や社畜は知らんけど)したのだから――


 それはともかく――まずいことになった。


 MEの前線基地が地球上に見つかったらしい。


 しかも日本本土から離れた孤島でだ。


 50m級のロボットを扱う秘密基地ぐらい直ぐに発見できるだろうとか言うツッコミはあるかも知れないがあいつらはそもそも宇宙のどっかから超テクノロジーでわざわざ地球に来た連中だ。


 その気になれば幾らでもそう言う手段はあるのだろう。


 と言うわけでロボットマン発進。


 場所は敵の基地。


 鉄騎隊は前回の戦いで損耗率は高いのでロボットはお休み。


 支援のための戦闘機隊が発進した。



 MEのなんか昭和の悪役感が漂う秘密基地に辿り着いた時。


 目にしたのは黒いロボット――突起物がない流線的なフォルムの今風の黒い巨大ロボットが次々とMEのロボットを銃で倒し、基地を破壊したりしているところだった。

 

 銃と言っても50m級のロボットが使う奴だ。

 破壊力はサイズ相応であり、二、三体同時に破壊したりしている。


 敵の攻撃も全て避け、格闘戦になったら胸部の四つのビーム砲や額のクリアパーツのレーザーでウチ貫き、腰から光の剣(ビームサーベル?)を取り出して切り裂く。


 ロボットマンとは似つかないが圧倒的な戦闘力。


 試験戦闘機に乗っている大文字 豪さんやオペレーターの前川さん、藤堂司令も驚いた様子だった。


『お前がロボットマンのパイロットか』


 声は正体を隠すためか弄くられているが、なんとなく男性のように感じた。


(ともかくどうするべきか・・・・・・)

 

 僕は破壊し尽くされたMEの基地に降り立ち、黒いロボットと一定の距離を開けて「そうだ」と返す。

 

『お前の祖父からメッセージを預かっている』


「なんだって!?」


 俺は声を荒らげずにはいられなかった。

 たぶんこのメッセージは他の皆にも伝えられた筈だ。

 

 ウチのおじいちゃん。

 本名真進 真太郎。


 ロボットマンの開発者であり、そしてMEの襲来と一緒に行方を眩ませた人間だ。

 

 もしかして関わりのある人間なのだろうか?


『気を付けろ。MEの脅威はお前が経験した物より遥かに脅威な存在だ――』


 そう言うとまるで幽霊のように消え去った。


「光学迷彩!? いや――テレポート技術!?」


 ロボットマンのセンサーがそれを肯定していた。

 オペレーターの前川さんも「テレポート・・・・・・ありえるの?」と絶句していた。



【*ユウトのおじいちゃんのメッセージ】


 まず最初に突然姿を消し、地球防衛と言う重すぎる宿命を任せた不義理を許して欲しい。


 そして突然目の前に現れた新たなロボットについても詳しく語ろう。


 そして諸君らが言うMEについてもじゃ。


 まずワシは地球人ではない。


 MEによって滅ぼされた地球外惑星の人間じゃ。


 それは君もじゃユウト。


 ワシは滅びゆく故郷からロボットマンと一緒にユウトを連れてこの辺境の星にやってきた。 

 

 慣れない地球での暮らしは大変じゃったが――今はその話をよそう。


 ワシは地球に来た後、お主を育てながらロボットマンを隠し――平和に過ごそうと思った。


 信じてくれないとは思うがロボットマンの爆破処理も考えた。


 だが、地球圏の状況やもしも――マシネリアが襲来した場合――ああ、マシネリアと言うのはワシが住んでた母星での呼び方じゃよ。


 話を戻そう。


 ロボットマンは結局爆破を断念した。


 そして予想は辺り、マシネリアが地球に襲来し、その判断は正しかったが暫くは苦悩して、知っての通り私は行方を眩ました。


 色々と言いたい事はあるだろうが、もしも地球に協力してロボットマン軍団を製造した場合、そのロボットマンを使った地球人同士の争いが起きるのをワシは危惧した。


 それだけではなく、地球人が第二の侵略者になる事も考えられた。

 

 だがこのままロボットマンだけではまずいと考えたワシは極秘裏に協力者を集い、急ピッチで地球制のロボットマンを産み出す事が出来た。


 言いたい事は分かる。


 どうして自分なのか。


 自分が戦う必要があったのか。


 これが新たな争いの火種になるのではないかと――


 ワシも悩んだよ・・・・・・


 また会う時が来れば――許してくれなくてもいい。せめて聞かせて欲しい。


 ワシはまだユウトの祖父と名乗っていいのかと。



 Side 真進 ユウト

 

 衝撃の事実が多い。


 だがそれよりも複雑な気持ちでいっぱい。


(よかった)と安心したような――


(どうして)と嘆いたり――


 そんな自分をどう思ったのか休暇が言い渡された。


 END

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