ずるいですね。
ラストで星三つになりました。
幸せになりました。
華美な文章を使うことなく、言葉が生み出す自然な温かさを感じました。
人と人との価値観の違いを主人公の目線で書き上げているので、すんなりと入ってきます。たまに違う作品を拝見していると、この人はこのような考えをするのだな、と他人を観察する気分になります。しかし、この作品はそんなことがありませんでした。
全ての登場人物の心情が何となくわかってしまう気がするのです。様々な事情があるはずなのに、すごいことですよね。
桜の流動性と切なさ、あたたかさを感じました。ありがとうございます。
読みやすく、優れたテーマを扱った、傑作短編。
読後にはとても穏やかで優しい気分になれるでしょう。そして、多くのことを学べるはずです。
このレビューが目に止まった方は、今すぐ読み始めることをおすすめします。
この作品のメッセージは、全世界に通用する、本質的なものです。
それを登場人物の境遇に置き換え、すっと心に入るよう落とし込んだのは、作者様の手腕です。
ヨム専門の人でも、質の高い作品としてお楽しみ頂けることでしょう。
そしてカク人は、ぜひに参加されている自主企画をご確認下さい。
あれだけの制約の中、一つの作品としてまとめ上げている。その手腕に感服することと思います。
教え子である春川さんの抱えている悩みを知った葉太のお話。
この悩みと言うのが、虐待や養子といった非常にデリケートかつ現実にも起こり得るもので、例え物語とはいえ、正面から扱うのはとても難しい問題だったと思います。
こう言う時、どんな回答を出すかがそのまま作品の評価に大きく繋がると思いますが、読んでいて非常に納得のいくものでした。
それは回答の内容はもちろん、それを出すまでの悩みや過程が丁重に書かれていたからこそ、より説得力をもつことができたのでしょう。
重たいテーマであるにも関わらず、読み終わった後はとても優しい気持ちになりました。
同じプロットで物語を描くゆあんさんの自主企画、『筆致は物語を超えるか【葉桜の君に】』の参加作品。
この企画の参加作品全てに共通しているのが、『先生が生徒の悩みを聞く』、なのですが……悩みが濃厚!
虐待や養子など、デリケートな悩みを抱えた高校生の女の子と、かつての苦い経験を糧に、真っ直ぐに生徒と向き合う先生の様子が、とても丁寧に描かれています。
難しいテーマにもかかわらず読後感がよく、嫌な気持ちにさせないのは、描き方と文章力の賜物です。
風景や心情の描写もとても丁寧で、読んでいて物語の世界に引き込まれていきました。
小説をどう書けばいいか悩んでいる人の、お手本になるような作品です。
かつては、『じれじれクイーン』と呼ばれていた野々ちえ様ですが、もはや、カクヨム界の女王陛下様といっても過言ではないような気がします。
『セミごっこ』で笑ってたら、あれよあれよとすごいことに。
『虐待』、『里親・里子』に『養子』なんてところがキーワード?
葉桜に関しても、印象的な三重点になっていて。
この今回の『葉桜の君に』企画のひとつの頂点であり、模範解答のように思います。
私の拝読した企画作品の中でも、非のつけどころがない作品は初めてです。誤字のひとつもないんだから。
相変わらずの完璧超人始祖《パーフェクトオリジン》っぷりを発揮しておられます。
文章が上手くて、物語運びが優れていて、テーマがしっかりと、心を捉えてきて💘
総てが極めて高いレベルでまとまっていて、ぶっちゃけ、下手なプロ小説家の水準超えちゃっているのではないでしょうか?
とにかく、この作品を読まずにこの企画を語ってはいけません。
これは、ひとつの模範解答ですからね。
そう言って恥ずかしくないくらい隙がない名作であると存じます。
高校教師の葉太は、入学式でひとりの生徒に視線を奪われる。それはあまりにも、彼女がかつての恋人に似ていたから。
容姿が似ていた訳ではない。彼女の纏う雰囲気が似ていたのだ。
彼女の名は春川桜子。そして葉太は校外の桜の木の下で、彼女と出会うことになるのだが──。
この物語は同じプロットを元にして、いろんな作者さんが書かれている物語なのですが、本作はその中でも指折りの「優しさ」が印象的な傑作です。
傷ついても、怖くても、「優しさ」があればきっといつか立ち直れる。そんな「優しさ」に溢れる物語の結末を、どうぞあなたも感じてみて下さい。