人類を脅かす《転生者》に立ち向かうのは、未来の魔王!?

物語の舞台は、圧倒的な力を持つ異世界から襲来した《転生者》たちによって滅亡の危機に瀕した世界。人類は肉体を改造する魔獣化措置によって優れた兵士を生み出し転生者への抵抗を試みるが、戦況は覆せぬままジリ貧の戦いを強いられ続ける。

主人公ルジンもそんな魔獣化された傭兵の一人。転生者たちには勝てない、自分などたいした奴ではないと内心思いながらも、目の前の人間を助けたりわずかな時間稼ぎのために命を懸けられるタフな男だ。

そんな彼の前にある日二人の女性が現れる。魔獣化を受けた兵士たちよりも遥かに強い力を持つ彼女たちは、なぜかただの傭兵であるルジンのことを魔王と呼び崇拝するのだが……。

主人公側がワーウルフやセイレーン、ゴルゴーンなど一般的なモンスターの種族名がつけられて、侵略者である転生者たちがブレイブ、クレリック、パラディンといった役職名で呼ばれるという単語だけ抜き出すと転生もの敵味方の設定をひっくり返したような本作品。

しかし、その転生者たちは人類とは程遠い異形の肉体を持っていて見た目は完全にモンスターでしかもその数は無尽蔵。おかげでルジンが向かう戦場は常にギリギリの防衛戦や撤退戦。そんな状況で生き延びるために泥臭く戦うルジンの姿が非常に熱い! それに加えて、なぜルジンが魔王と呼ばれるのか、ルジンの下に現れた女性たちの正体は何者かという数々の謎が物語を動かし続け、とても先が気になる内容になっている。


(「いろいろな魔王」4選/文=柿崎 憲)

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