「どんでん返し」が描きだす、対話と想像力への信頼

この作品にほどこされた「しかけ」は、とてもとてもシンプルなものだ。
「そうだよな、その手があったよな」と、読み終わってから思う。

しかし、読者を驚かせるための単なる技巧にとどまらないものが、この作品には備わっているように思う。その「しかけ」が生み出し表現するのは、世界へのささやかだが根本的な信頼とでもいうべきものだ。

異質なものと出会い関係をつくるにあたって、いちばん大切な視点と想像力が何かということを、この「しかけ」は気づかせてくれる。
それは身近で小さな出会いにおいても、きっと同じくらい大切になる視点であり、想像力なのだ。

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