アンドロイドと彼らの世界

とある田舎に住む小学生・夏見トウは、両親と祖母、そして男性型家事アンドロイドの「サント」と一緒に暮らしている。かつては八歳年上の兄・イチトも同居していたが、就職を機に上京した。ある日、トウはイチトの部屋で偶然一枚の女性型アンドロイドの写真を見つけた。格好からして近所のスーパーのレジ打ちアンドロイドに見えたが、裏には兄の字で「サントの恋人」とメモが。夕食のときにサントへそれとなく聞いてみるも、彼はすでにプログラムされた身近な人間への「好意」を語るだけで真相はわからなかった。
いまや社会に広く浸透したアンドロイドは、あくまで便利な機械であり個人的な欲望は持たず、当然アンドロイド同士の交流は発生しない。さらなる機能向上のために個々が収集したデータを閲覧し、自律的に学習することはできたが、交流とは程…続きを読む