概要
《獣》が私を待ち伏せしている。
巡礼者エリアーシュは病弱な友の代わりに、石の神殿のある寂れた村を訪れる。その土地には《暗殺者の指》と呼ばれる、人を殺す毒草が生えている。
彼は一人の少女に出会う。彼女は自分は近いうちに殺されると言い、理由を尋ねても「そういう家系だから」としか答えない……。
彼は一人の少女に出会う。彼女は自分は近いうちに殺されると言い、理由を尋ねても「そういう家系だから」としか答えない……。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!毒草というモチーフを中心に据えることの強烈な不穏さ
病の友人に代わって小さな村を訪れた巡礼者と、その地方に生える毒草にまつわる物語。
悲劇も悲劇、とんでもなく重いお話でした。抗いようのない運命に、ただ犠牲になるしかない罪なき人々。あまりにも辛く、残酷で、なによりまったく容赦がない、この徹底っぷりにただただ打ちのめされます。
徐々に詳らかにされていく真相と、その匂わせ方。気づいたときにはもはや手遅れ、というこの息苦しさに、そしてとどめ(むしろ追い討ち)とばかりに襲い来る衝撃の結末。破壊力抜群でした。
本文が一風変わった形式というか、『友への手紙』という体裁を取っているところが好きです。気のおけない友へ宛てているが故の、本心からの忌憚のない言葉。…続きを読む