病の友人に代わって小さな村を訪れた巡礼者と、その地方に生える毒草にまつわる物語。
悲劇も悲劇、とんでもなく重いお話でした。抗いようのない運命に、ただ犠牲になるしかない罪なき人々。あまりにも辛く、残酷で、なによりまったく容赦がない、この徹底っぷりにただただ打ちのめされます。
徐々に詳らかにされていく真相と、その匂わせ方。気づいたときにはもはや手遅れ、というこの息苦しさに、そしてとどめ(むしろ追い討ち)とばかりに襲い来る衝撃の結末。破壊力抜群でした。
本文が一風変わった形式というか、『友への手紙』という体裁を取っているところが好きです。気のおけない友へ宛てているが故の、本心からの忌憚のない言葉。どうしても意識してしまう三通の手紙が届くまでの時間と、そして唯一、手紙の形式ではないエピローグ。結末の絶望がじわじわ底上げされるというか、救いのなさが浮き立つようでした。