本作は天を目指して建設される階段都市を舞台に、天頂を目指す主人公、幼馴染みの少女、兄貴分の騎士、真実を求道する神官たちの活躍を描く物語です。各話で最初にシーンの説明があり、様々な人物の視点で展開されていくことから群像劇の様相を呈しています。
まるでバベルの塔がごとく天高く聳え立ち、今もなお建築が進められる都市は内部に様々な機構を有しており、あたかも国のような重厚さを誇ります。また、住民に与えられる祝福という個別的な力も物語を彩る重要な要素になっています。
果たして階段都市建設の真の目的とは、主人公に与えられた印の祝福の正体とは、全く見たことのない新しいファンタジーがあなたを待っています。
細部まで作り込まれている世界観がすごい!
話数が多く感じられる方がおられるかもしれませんが、軽快なテンポでお話が進んでいくので最新話まであっという間に読めます。しかし内容が軽いかというとそんな訳ではない。各人物達の心情、友情などに焦点があたる時、作品にぐっと引き寄せられます。階段を登る理由。戦う理由。クルケアンの謎……。それらが垣間見えたり発覚するとき、時間を忘れて読み込んでしまう自分がいました。
そして個人的に推したいのは何と言っても竜の騎士団のカッコ良さ!強さ!タフさ! 群像劇に少し苦手意識があったとしてもここまでは是非読んでもらいたいです。濃密な読書体験がしたい時にお勧めです。
自分の場合、(ストーリーやキャラクターはもちろん)“階段都市”という世界観に強く惹かれました。各層には様々な役割や背景があったり、クルケアン特有の小道具や文化が出てきたりと、読めば読むほど好奇心がくすぐられます。
文面は、この美しい世界観を表現するのに程よい硬さ。矛盾点が一切見られず、細部まで丁寧に練られているのが伝わってきます。
じっくりスクロールしていったら……あれ、もう終わり!? そう思えるほど1話ごとに読み応えがあって、切り上げるのに勇気が要ります!こうしてレビューを書いている今でも、『また読みたい』と思える自分がいます。
ビューアー設定を『フォント:明朝、背景色:生成り、組方向:縦』にすると、没入感が10倍増します。ぜひお試しあれ!!
セト、エル、バルアダンを中心とする「アスタルトの家」の仲間たち。それぞれが将来の夢や希望を胸に抱いて勉学や仕事に励んでいた。そんな彼らが成功の階段を昇っていくに従い、次第にクルケアンに渦巻く陰謀に巻き込まれていく……。
詳細に作り込まれたオリジナリティー溢れる古代魔法文明都市の世界感、神殿と騎士団の対立を中心とした政治ドラマ、過去と現在を繋ぐ歴史ミステリー、それらの要素を横断していく若者たちの群像劇、そして熱い展開が目白押しの戦闘描写!
正に全ての要素が詰まった注目すべきハイファンタジーと言えるでしょう。
但し、群像劇であるがゆえに登場人物が多く、かつそのキャラクターごとに話が切り替わって行くので、序盤は物語が進むのがゆっくりに感じるかも知れません。しかし、魔獣の工房編の後半の展開は激アツなのでそこまでは、是非読み進めることをお勧めします。
天に向かって絶え間なく建設が進められている、階段都市「クルケアン」。
多くの一般人は下層に居を構え、この細長い都市を上下に行き来して生活を営んでいます。
神殿が人々の人生観を支配し、それぞれが持つ魔力に「祝福」という形で適性を授ける世界。
物語の中心となる少年・セトと、少女・エルには、類まれなる祝福の力が備わっていました。
彼らの仲間となる他のキャラクターたちも、それぞれが個性豊かな長所を備えています。
キャラクターたちがそれぞれの特性を生かし、協力し合うことで、さまざまな活動、ときには激しい戦闘をくぐり抜けていく。
少年少女たちの生き生きとした姿、仲間を大切に思う強い絆の力。
まるで彼らとともに行動しているようで、とてもワクワクします。
下層に住む彼らは、上層の謎、神殿の謎にどこまで迫っていけるのか。
程よく描写されたこの独特な世界が、少しずつ解き明かされていくのを、追いかけずにはいられなくなります。
重厚かつ緻密に練り上げられた、独自のファンタジー世界。
そこに生きる、明るく可愛らしい少年少女たち。
多くの魅力にあふれた、とても先が楽しみな作品です。
本当に神は、愛なのでしょうか?
神は、本当に実在するのでしょうか?
人が神を求め、神を崇拝するのは神が人に与えた能力だと、昔教わったことがあります。
物語の舞台は、天へと続く階段都市クルケアン。
主神によって神と人が切り離された五百年前、神と人が繋がりを持てるように、天へと届く高き都市を建設するように、とイルモート神からの啓示がありました。
そして現在三百層に。今も建造中とのことです。
ここで気になるのが、ライフラインや各階への移動手段なのですが……
それは実際に読まれることをおすすめします💦
主人公は、セトという冒険と探検が好きな好奇心旺盛な少年。
なんと!彼は自力で百二十層へ登るくらいの素晴らしい行動力の持ち主でしたが、いつも知り合いの騎士に見つかって迷惑をかけています。
幼なじみの女の子エルシャには張り手を食らわされてます(笑)
十八歳になった彼は、クルケアンの神殿で成人の儀式を迎えます。
それは神の祝福(ギフト)によって、自分の適正を見定められる大切な日でもありました。そしてその分野の修練を経て、一年後に各ギルドに所属されるのです。
セトは、神から〈印〉というギフトを授かるのですが……
それはクルケアンが、ある変貌を迎える兆候なのでしょうか?
セトは幼馴染みのエルシャや仲間達とアスタルトの家を結成し、クルケアンの歴史を学んだり、星祭りのイベントを開催。大成功を収めます。
セトには血はつながっていませんが、兄と慕うバルアダンがいます。
バルアダンははっきり言ってカッコいい。まるで王子様みたいです!
私はとても気に入ってます!
緊張の戦闘シーンも非常に美しく、読んでいてドキドキします。
迫力の、竜の騎士団対魔獣の空中戦の描写は、もう素晴らしい!としか言いようがありません……ハア。
勿論他にも魅力的な人物が登場し、物語をより濃くしていきます。
生き別れの兄妹の残酷な運命、子供達の将来を思う大人達。魔獣の生き方からやっと解放された(読んで下さい)に涙が出てしまいました……
やがてセトは、愛するクルケアンに隠された驚愕の真実を知ります。
神とは邪神なのか?
クルケアン未来とは?
作者は遺跡の研究をされているとのこと。また、古代の神話(バビロニア?アッシリア?聖書?)の知識にも深い方ではないかと思います。
この物語を読んでいて思うのが、これは過去の世界?と錯覚してしまう時があるんです_(^^;)ゞ(私だけですか…)
なので、異世界が苦手な方もすんなり物語に入っていけるのでは?と思いました。
古代神話や遺跡ミステリーが好きな方は、一度読まれることをおすすめします。
どうなるのか気になって気になって……