冴えなかった女優が美少女ロボットを操り、新時代の役者として活躍する

すでに現代ではボーカロイドという人間の音声をコンピュータに取り込んで、自由に曲を歌わせるソフトが存在するわけですが、この物語にはその更に先を行く発想として、人間そっくりのヒューマノイドロボットを操って演技をする「アクトノイド」という概念が登場します。

主人公ミカは優れた演技力を持ちながら、容姿が人並みであるためにどうしても女優として正当な評価をされません。
仕事が回ってきても「見た目が良い」「スポンサーの意向」などの理由で自分よりも演技力に劣る女優に仕事を取られて忸怩たる思いを抱えていました。
しかし、そんな彼女に転機が訪れます。
ある天才エンジニアが作った美少女ヒューマノイドロボット「アクトノイド」を操縦して役者を演じてもらえないかというオファーが来るのです。
ミカは葛藤しながらも、どんな形でも自分の演技をする場所がもらえるのならと覚悟を決めるのですが……。

物語はミカが「アクトノイド」を操縦しながら、色々な映画や劇を演じることを通じて演技のあり方、人とのつながりを見つめ直していくことで展開していきます。

その一つ一つがアクトノイドというガジェットを生かした想像力を刺激されるエピソードになっていて、登場する人々も個性的で飽きさせません。

文章も読みやすく、話の完成度が高いと感じました。
間違いなく一読の価値があります。

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