概要
気が付くと僕は、僕の書いた小説の中にいた。その小説の主人公として──。
高校生でありながら「アプリオリ」と呼ばれる予知能力を持ち、情報自衛隊の防諜部隊に籍を置く橘高ヒロト。彼は女性型戦闘アンドロイド・凛堂ロザをパートナーとして活躍していた。だがヒロトは誰にも言えない秘密を抱えていた。彼の本名は青木ヒロシ。彼は「このライトノベルの作者」なのだった──。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!自己認識の不安定さを追体験させられる
自分で書いたバトルもの現代SFファンタジー小説の世界に、なぜか主人公として入り込んでしまった人の物語。
あらすじ(作品紹介)にもある通り、既知の創作物の世界に入り込む、ある種転生ものにも似た構造のお話です。と、その前提で読み始めると、まず度肝を抜かれるのがその『バトルもの現代SFファンタジー』部分の骨太さ。
作中の自作小説にあたる部分の設定を、決して等閑に済ませない。中身自体は決して手を抜かず、といってやりすぎることもなく(やりすぎると多分「こっちだけでよかったのでは?」ってなる)。ケレン味の大盛り感でそれっぽさをしっかり演出し、しっかりお話の軸をぶらさない。
このバランス感覚。こういうの好…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ぎっしりと詰まった物語
読み終わった後、びっくりして文字数を確認して、一万文字以内にきっちり収まっているのにもう一度びっくりしました。
この密度で物語が展開されているにもかかわらず、最初の一話がまるっとアクションシーンに割かれているというのもすごいことです。その上で日常パートが二回に問題解決のための動きがあるパートまで挟まって過不足なく物語を終わらせている手腕が強い。
メタ構造が特徴の作品なのですが、仕掛けが二段階あるように思います。
主人公「橘高ヒロト」の中に入ってしまった作者「青木ヒロシ」は、名前の部分の「ヒロ」が被っていて、「三十路のサラリーマンが趣味で書いている小説の主人公へのちょっとした(あるいは…続きを読む