「苦さ」があるから「甘さ」がわかる。

 プロのショコラティエを目指す匠と、プロのピアニストを目指す響子。この二人の物語は本当に甘いのですが、注目して欲しいのは「甘さ」の前にある「苦さ」です。
 人間は何かと何かを比べて生きていると言っても過言ではない生き物。「苦味」があるから「甘味」がわかるように、意識せずに何かを比べていると思うのです。
 今回も、失敗という「苦味」があるからこそ、上手くできた時の「甘味」を感じられるんだなぁと改めて思いました。

 それともうひとつ。さっき「人は比べてばかり」だと言いましたけど、この二人は、お互いを比べてない。本当に二人にとってお互いが、唯一無二の存在なんだなぁと納得できました。
 寒い冬にぴったりのお話ですけど、もちろん夏でも美味しく頂けます。おすすめの作品です!

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