今宵は誰の物語を紡ぎましょう――、三者一羽の色に惑う、中華幻想恋愛譚。

 中華ベースの異世界宮廷で織りなされる、溺愛系恋愛ファンタジーです。
 気質の違う三人の皇子、そして美しい妖鳥が想いを向けるのは、宮仕えをしているしっかり者のヒロイン。三者一羽の愛情はまっすぐでわかりやすく、反面、ヒロインの朱衣の心は序盤ではあまりわかりません。
 皇子たちを一人一人掘り下げて描いていくうちに、彼女の想いと宮廷の現状が少しずつ紐解かれていきます。

 乙女ゲームや少女漫画のような王道のストーリーラインですが、朱衣の父親である「先生」との日々を三人の皇子たちが回想する流れは、この物語のもう一つの軸のように思います。
 幼いときの思い出と今の朱衣との関わりが、彼らの生き方をどう変えてゆくのか。国の在り方にも関わるその変化も、見どころかなぁと。

 甘い恋にほんのり苦い毒が混じる恋愛劇、ぜひご一読ください。

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