この作品はタイトル通りに、半分は本当の話、もう半分はフィクションのホラー小説です。
どこからが真実で、どこからが嘘なのか、想像しながら読んでみて。と書かれてあったので、それを楽しみにして読み始めました。
でも、読んでいると、全部本当にあったことのように思えて、物語の構成力の凄さを感じました。違和感がないので、どこからがフィクションなのか、分からないんです。
そして、ホラー小説ですが恐ろしいものばかりではなく、不思議で心が温まる話や、人間こそが1番怖いのではないか、と考えてしまう話など、いろいろな話が楽しめるのが魅力です。
ネット上の怖い話を見ていると、どこかで見たような話だな、と思うことがありますが『半実話あやし奇譚』では、他では見たことがない話を読むことができます。
それはやはり、実際にあったことをもとに書かれているからだと思います。
僕がこのサイトに登録しようと決めたきっかけになった小説でもあるので、ぜひ読んでみてください。
怖い話が苦手な方は、明るい時間に読んでくださいね。
店舗を経営している筆者が、客商売の中で出会った人たちから聞いた奇妙な体験をまとめた怪奇体験を短編としてまとめたお話です。
映画やドラマのホラー作品の場合、創作なのでわかりやすい結末や解決が描かれるものですが、このお話は実際に体験したという不思議な出来事をフィクションの部分も交えて描写しているので「結局あの正体は何だったのか」「不可思議な偶然だったのか」とモヤモヤさせられる不穏な雰囲気が残ったまま終わることもあり、そこがリアリティを感じさせて独特の味わいになっています。
時におどろおどろしい怨念にまつわるエピソードもあれば、亡くなった人が守ってくれたのかと想像させるような不思議で優しい話もあります。
そしてさまざまな飽きさせない物語が親しみやすい体験談風の語り口で描かれているのでとても読みやすく、とても楽しむことができました。
怪談好きな方にはおすすめです。
怪談というと、合理主義のこのご時世、錯覚だの脳内現象だと切り捨てることは簡単ですが、人間の奥底の恐怖や好奇心は変わらない。形を幾度も変えて私たちの前に現れてきます。
古くは根岸鎮衛の「耳袋」、昭和だと松谷みよ子の「現代民話考」、平成だと「新耳袋」などが好きな方なら楽しめることでしょう。
学術的な文献に残りづらい物語を収集するのは根気のいる作業で、著者には頭が下がります。
また、話によっては下手な作者だとスプラッタな流血になりがちなところ、抑えた表現でまとめているのは特に好感が持てます。
「半実話」といいつつ100%創作では書けないリアルなエッセンスが散りばめられていて、一種独特な語りの妙味があります……ありそうでなさそうな。
でも、体験談の話者にとっては「あったること」であり、読者もこの物語を読むことでその世界を垣間見ることができるのです。
すでに四十話を超えていますが、どこから読んでも面白いです。
題名は「半実話」となっております。半分、つまり五割は実話です。これは作者様が冒頭で述べられているように、作者様が聞いた話を脚色して作られた作品集だから、「半実話」となっているわけですが、その怖さは五割どころではない。どの話も、十割怖い。再び題名を見て『半実話あやし奇譚』となっているが、「あやし」とか「奇譚」で括られるような、ありきたりな話は、1話もなかった。
こんな話を常に聞いていらっしゃる作者様は、何者? と思う。
小生が特に怖かったのは、「座敷童」の話と、「飼い犬」の話だった。実はこの二つを読んだ日は、思い出して眠れなくなったほどに、怖かった。一話一話に、最恐の落ちが付いていて、それがまた恐怖を煽る。
「座敷童」も「飼い犬」も、一見穏やかな単語だが、話を読むと全く穏やかではなかった。
果たして、座敷童だと信じていたモノは一体何だったのか?
そして、揺れ続ける首吊り死体と、飼い犬の関係とは?
本当に怖いものをお探しの方、
是非、御一読下さい。
『半実話あやし奇譚』というタイトルでオカルト一辺倒と思った私は甘かった。
この作品は様々な方から聞いた話が元になっているとのことですが、確かにオカルト要素もあれどそれだけではない。人間のあやしい性質も含まれています。
とは言え、ただ『あやしい』の一言で済まない深さがある。怖い話、不思議な話、ホッとする話、ホロリとする話……それらが巧みな文章により纏められ素晴らしい作品に仕上がっています。
成る程公式に紹介されるだけあり完成度は高い。そして人の心を惹き付ける作品でした。
あなたも『半実話あやし』の世界を堪能してみては?
カクヨム公式の特集でも取り上げられている作品です。だから、私が書くのも蛇足な気がしますが、紹介させてください。
ホラーです。
普段ホラーをほとんど読まない私でもすんなり心に入ってきます。
すごく怖いですが。
抑揚をひかえた表現が、静謐な非日常の世界に読者を引きこんでいきます。
そして、耳元で恐怖をそっとささやきます。
構成もさることながら、表現もお上手です。
抑えている、けれども細部にまで意識がちゃんと研ぎ済まされている。そんな文章に感じます。
語られるのは非日常ですが、浮かび上がってくるのは人間の真の本質ではないでしょうか。
一話完結で読みやすい作品です。
本作品では、心温まるものから死にふれるものまで、たくさんの“あやしい”に出会えます。
ジャンルは、怪奇や恐怖を味わって楽しむホラーです。
しかし、数話を読み進めるうちに、わたしの感覚は、与えられた情報から真実を追っていく、ミステリーを読んでいるかのように変わっていきました。
謎が謎のまま終わるお話が多いからでしょうか。
作者・烏目さんが「まえがき」で述べられているとおり、事実をつまびらかにするのは『野暮』で、あえてそうなさっているのですね。
その謎が、読み手の想像力で別のあやしさに変わっていくのが、本作品の面白さです。事実と虚構の境目をさがすのも、楽しみのひとつに。
一話完結が主なので、興味を持った題名から、好きなように読んでいけるのもポイントです。
画面が文字で埋め尽くされておらず、適度な余白があり、難解な言葉・言い回しがないところに、烏目さんの読みやすさへの配慮が窺えます。
五分もあれば一話を読み切れますので、読み疲れは起きません。
気軽にふれられる、あやしい世界。
一度、体験してみてはいかがでしょう。