心温まるものから死にふれるものまで、たくさんの“あやしい”に──。

本作品では、心温まるものから死にふれるものまで、たくさんの“あやしい”に出会えます。

ジャンルは、怪奇や恐怖を味わって楽しむホラーです。
しかし、数話を読み進めるうちに、わたしの感覚は、与えられた情報から真実を追っていく、ミステリーを読んでいるかのように変わっていきました。
謎が謎のまま終わるお話が多いからでしょうか。
作者・烏目さんが「まえがき」で述べられているとおり、事実をつまびらかにするのは『野暮』で、あえてそうなさっているのですね。
その謎が、読み手の想像力で別のあやしさに変わっていくのが、本作品の面白さです。事実と虚構の境目をさがすのも、楽しみのひとつに。

一話完結が主なので、興味を持った題名から、好きなように読んでいけるのもポイントです。
画面が文字で埋め尽くされておらず、適度な余白があり、難解な言葉・言い回しがないところに、烏目さんの読みやすさへの配慮が窺えます。
五分もあれば一話を読み切れますので、読み疲れは起きません。

気軽にふれられる、あやしい世界。
一度、体験してみてはいかがでしょう。

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