実体験か、創作か。様々な人間の口から語られる現代の怪談集。

店舗を経営している筆者が、客商売の中で出会った人たちから聞いた奇妙な体験をまとめた怪奇体験を短編としてまとめたお話です。

映画やドラマのホラー作品の場合、創作なのでわかりやすい結末や解決が描かれるものですが、このお話は実際に体験したという不思議な出来事をフィクションの部分も交えて描写しているので「結局あの正体は何だったのか」「不可思議な偶然だったのか」とモヤモヤさせられる不穏な雰囲気が残ったまま終わることもあり、そこがリアリティを感じさせて独特の味わいになっています。

時におどろおどろしい怨念にまつわるエピソードもあれば、亡くなった人が守ってくれたのかと想像させるような不思議で優しい話もあります。
そしてさまざまな飽きさせない物語が親しみやすい体験談風の語り口で描かれているのでとても読みやすく、とても楽しむことができました。

怪談好きな方にはおすすめです。

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