3-40 村松康雄氏の訃報に寄せて毒魔大帝統の話

 2024年4月20日、 毒魔どくま大帝統役、村松むらまつ康雄やすお氏の訃報が所属事務所のオフィス薫から発表された。2024年4月11日、91歳で亡くなられたとのこと。


http://office-kaoru.movie.coocan.jp/muramatsu_y/fax.pdf


 村松康雄は『闘士ゴーディアン』でダイゴたちと戦う敵マドクターの首領、毒魔大帝統(本編テロップでは「ドグマ大帝統」)を演じられた。タツノコ作品に多い、姿は見せずにペルソナから部下に指示するスタイルだ。

 『ジ・アニメ』Vol.2(1980年1月号)のアフレコ現場インタビューでは、当時は珍しかった線録りに苦言を呈しながらも「ドクマは目しか出てこないのでそういう点ではラク」とフォローしている。

 シリーズ構成の山本優は毒魔大帝統の正体を明かすつもりはなかったようだが、アニメが延長したため、65話でドクマ星人トップメンバー8人の集合体である生体コンピューターだと明かされた。


 毒魔大帝統といえば第1話からの決め台詞である「太陽のすかし」。アニメ初期では1話に一回は使用していたが、入手したシナリオやアフレコ台本を見ると、実際は喋ってないシーンでも「太陽のすかし」と入れていたことが分かった。村松康雄のアドリブだとしたら感心する。

 36話では毒魔大帝統が幹部たちに「太陽の東」と告げるがイントネーションがまんま「太陽のすかし」という笑えるシーンがある。


 最終回の73話では、超宇宙でアーカーシャに「我汝に従うよりは地獄の宇宙をこそ支配したい」と言い放つ毒魔大帝統だが、残念ながら倒されてしまった。


 毒魔大帝統はドクマ星人の子孫であることを重んじる優生思想の持ち主で、役に立たない人間はすぐ切り捨てる残忍な首領だったが、村松康雄自身は第二次世界大戦で過酷な体験をしてきたという。SNSでも後輩声優からの追悼コメントが多く見られ、数多くの方から慕われていたことがうかがえた。

 改めて氏のご冥福をお祈りしたい。

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君はゴーディアンを知るか 大田康湖 @ootayasuko

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