3 肝試しと大掃除 side B

別に言語学系を真面目にやったことあるのかというとそうでもない(完全に趣味)んですよね。


1 もぐむしゃタイム(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817139557139456431)より

 ・切りばかま

  引きずるほどにすその長い長袴ながばかまに対して

  足首ぐらいの長さでくくり紐がないもの。

  ここでの想定は明治以降のうちきばかま用の切袴きりばかま


 ・小忌衣おみごろも

  一口に小忌衣おみごろもというと、歌舞伎かぶきのもの、

  現代の一部神事で使われる簡易なもの、有職ゆうそくのものが

  上がるが、ここでは有職ゆうそくのものベース。

  おそらく現代の巫女装束の千早ちはやの源流だが、

  長さは腰程度にとどまる。

  神事の際にほうなどの上から着用した上着。

  貫頭衣がベースではあるが、前身頃が開いており、

  水干すいかんほうよりも直垂ひたたれに似る。

  ほうなどの上から着用する場合、この前身頃を

  現在一般の着物と同じように重ね合わせ、そのまま

  両裾を腰の石帯に挟み込むようにして着用した。

  特徴的なのが右袖についた赤いで、これを

  ゆわいてらす。

  白地に青摺あおずり(山藍の葉の汁で直接描く

  タイプの草木染め)で模様をいれるのが通常だが、

  ここでの想定は入れてない。

  (自分が描くにあたって障害になりかねないから)



2 起きながらの寝目いめhttps://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817139557157923243)より

 ・寝目いめ

  夢の語源。



4 日向ひむかたちばな小戸おど阿波岐原あわぎはらhttps://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817139557377312511)より

 ・日向ひむかたちばな小戸おど阿波岐原あわぎはら

  『古事記』で黄泉の国から伊邪那岐いざなぎ

  帰り着いた場所。



5 祓戸大神はらえどのおおかみhttps://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817139557394325950)より

 ・祓戸大神はらえどのおおかみ

  ここで語られる十二柱の総称。

  あるいは大祓詞おおはらえのことばに表される

  瀬織津比売せおりつひめ速開都比売はやあきつひめ気吹戸主いぶきどぬし速佐須良比売はやさすらひめ

  の四柱(祓戸四柱はらえどよんはしらとも)を指す場合もある。



6 winding & straight(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817139557411849431)より

 ・八十やそ

  『古事記』でだと他に大穴牟遅おおなむちの兄達が

  まとめて八十神やそがみと呼ばれている。


 ・伊豆能売いづのめ

  『古事記』のみに記載があり、なので女神

  ではある。

  のだが、未詳。伊豆いづいつくと

  同じ語根なのではとも言われるがその場合は

  にごらないはず、ということで意見が割れるところ。


 ・

  『古事記』の神の名の特に末尾によく付くのは、

  ヒ、チ、ミの三音であるが、ここで言う通り、

  ヒは霊的な力、チは精霊程度、ミは神霊程度という

  ぐらいの違いがある。

  チの例は迦具土かぐつち、ミの例は大山津見神おおやまつみのかみ

  大綿津見神おおわたつみのかみ



7 正常とは直ぐである(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817139557443859894)より

 ・なおす

  関西以西では「なおす」に原状復帰の意味合いが

  ある。

  これは古語の「なほす」の意味合い

  (正しくする、元通りにする、修繕する、改める)が

  引きがれていると考えられる。

  逆に関東圏以東では「元通りにする」に相当する

  「片付ける」、「仕舞う」が人口に膾炙かいしゃして

  「直す」を上回った結果であろう。

  ……中心地で使われなくなった古語が末端地の方言

  として同心円的分布で生き残るケースと比較すると

  めちゃくちゃ興味深い。



8 Aurea mediocritas.(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817139557460620050)より

 ・Aurea mediocritas.

  アウレア・メディオクリタース

  ホラティウスの言葉。黄金なる中庸。


 ・過ぎたるは猶ほ不及及ばざるがごとし

  『論語』の一節。単純に「過ぎたるは及ばざるが

  ごとし」と言われる方が多いが、言いたいことは

  「過度は不足と同等である」ということである。


 ・直系子孫

  地理的、文法及び音韻的に考えてイタリア語は

  ラテン語の直系子孫と言える。まあ音韻的には

  スペイン語やポルトガル語あたりも割とそう。

  逆に音韻がめちゃくちゃ崩れたけど子孫ではあるのが

  フランス語。子音の発音制約のせいで同音異義語が

  多すぎる。

  とはいえ、ラテン語から直接発生した言語に残って

  いることが多いのは動詞の活用であり、逆に

  後世ラテン語文法を取り入れた結果、格変化を

  持っているのがゲルマン語系譜のドイツ語である。

  子孫たちはこの格変化の複雑さに早々に見切りを

  つけてしまったらしい。それでも動詞の変化も

  なかなかよ、お前ら。

  まあ、英語においてはこれらがとんでもねー割合で

  入り混じった混沌である(ケルト語系のところに

  ゲルマン語系が上書きして、少なくとも初期は

  フランス語経由でラテン語由来の語彙が入って、

  表記統一と音韻変化が同時期に発生して……

  ghotiフィッシュな事態に)



9 medi- 中 -terr- 地 -aneus 形容詞形成語尾(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817139557510937114)より

 ・medi- 中 -terr- 地 -aneus 形容詞形成語尾

  mediterraneus。メディテッラネウス。

  ラテン語。内陸の。

  「中」を意味するmediusの語幹のmedi-、

  「地」を意味するterraの語幹の-terr-に

  形容詞として成り立たせるための-aneusを

  ドッキング。

  結果、「地の中」というか「地の間の」で「内陸の」

  になる。なおラテン語の造語能力は低めである。


 ・data

  実は複数形だった。

  原義は与えられたもの。つまり我々が言うデータは

  情報処理機器に情報であるという

  こと。

  単数形主格が-umで終わる場合、中性の第二変化なの

  で複数形主格は-aになる。


 ・mid-、med-

  言語の進化上、eとiはよく混線する。

  実はshi⇔chi⇔kiとかもあるけど。



10 なかだちhttps://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817139557531310745)より

 ・十九世紀末

  この頃めちゃくちゃ降霊会やったりしてるし、

  あのオカルティスト、アレイスター・クロウリーが

  温まってきた~エンジン稼働しだした、ぐらい。

  コナン・ドイルさえだましたことで有名な

  コティングリー妖精事件もだいたいこの辺。


 ・箔付はくづ

  ある意味、教会がかたくなにギリシャ語の聖書を

  使い続け、共通言語としてラテン語を使用して

  いたのはこれに近いかもしれない。

  まあ、プロテスタントの台頭というか、ルターが

  何石も投じちゃったんですけど。


 ・敬意の時限性

  貴様きさまとか、御前おまえとか字義から

  分かる通り、本来は敬語である。


 ・まし

  いまし(親称)、みまし(敬称)とかもある。

  『古事記』だと頻出。



11 ふいんき(何故か変換できない)(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817139557580798234)より

 ・使用頻度が高い語ほど、文法上の古態こたいを残しやすい

  ここでは英語のbe動詞を上げてるけど、まあ、

  他のラテン語系言語のbe動詞相当も大体不規則変化

  である。

  逆に言えばそれだけ使われる語なのだ。


 ・音便おんびん

  中学頃にやってるはず。

  ウ音便、イ音便、促音便そくおんびん撥音便はつおんびんの四種。

  ウ音便は特に関西弁での形容詞上に現れがちな

  「-く」からのk脱落や、イ段の音のウ段化(この場合

  古典語彙上からそのまま現代語彙に流れ込んでる

  のでわかりにくい)、イ音便も同じく形容詞の

  「美しき→美しい」のようなk脱落タイプと

  「聞きて→聞いて」の「い」への変化、

  撥音便はつおんびんは「読みて→読んで」の「ん」への変化、

  促音便そくおんびんは「待ちて→待って」の「っ」への変化。


 ・連声れんじょう

  フランス語やった人にはリエゾンとかアンシェヌマン

  のたぐい、というと伝わりやすいはず。

  語末の子音がその後続く語の母音に影響されて発音

  されるというやつ。

  日本語においては観音かんのん(もともと観世音菩薩かんぜおんぼさつを略した

  ものなので、観音かん-おんだがn+oで観音かんのん)や

  反応(文字的に本来は「はん-おう」だがn+oで

  反応はんのう)とか。


 ・音位転換おんいてんかん

  本来的な音の位置が入れ替わる現象。

  小さい子はめちゃくちゃ起こすが、ここで引き合い

  に出してる「ふんいき」のように、単純に発音難度

  の問題によって変化し、根付く場合もある。

  山茶花さざんか(さんざか→さざんか)とか

  秋葉原(あきばはら:火伏ひぶせで有名な秋葉あきば

  権現ごんげんまつってると思われたため→あきはばら)

  もそれ。



12 穏やかな混沌より荒々しき秩序(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817139557609086024)より

 ・六次ろくじへだたり仮説かせつ

  ウィキペの任意のページから別の任意の項目の

  ページにいくのに六回以内で辿たどりつける、

  というのは割と有名な話か?

  私は事前にそれを知った上で、人での例を司書資格

  取得の講義で聞いてびっくりしたよね。


 ・霞堤かすみてい

  構造としては川に沿った堤防に流れとは反対方向に

  斜めの切れ込みを入れる。

  \  │ ↓川の流れ

  \  │ 

   │  /

   │  /

   │ │

  こんな感じ。水量が増加すると、切れ込み部分から

  水が逆流して氾濫はんらんし、氾濫はんらん

  収まれば、自然と切れ込み部分から水が川に

  戻るシステム。

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