夕方六時に私は冷めたピザを食べた
隅田 天美
ハードボイルドとは?
以前、『夕方六時に私はホットドックを作った』を公開したときに師匠(原幌平晴氏)からこんな書き込みをもらった。
『やっぱ、冷めたピザと気の抜けたビールですよwww』
そもそも『夕方六時に私はホットドックを作った』は日本ハードボイルド小説の金字塔の料理を作ってみたかったからだ。
しかし、師は言う。
「冷めたピザと気の抜けたビール」だと。
『www』はあえて気にしない。
まずはピザである。
かつて、家に大型のオーブンがあったが今は無い。
出来るとしてピザトーストがせいぜいだ。
自問する。
――ピザトーストがハードボイルドが?
否。
ピザトーストはご家庭の味であり、ハードボイルドではない。(個人的感想)
では、宅配ピザはどうだ?
これも否。
せっかく出来立てのピザを運んでくれる店員さんに対して申し訳ないと思う。
だって、冷ますから。
最終的にコンビニの「四種類のチーズのマルゲリータ」を買う。
次に酒である。
実はこれ、鬼門である。
理由はいくつかある。
時々語っているが私はPTSD (心理的外傷)というのを持っていて薬なしでは精神がおかしくなることがある。
かつ、眠れなかったり集中できなかったり弊害もある。
だから、日常生活で薬は手放せない。
次に私は酒に弱い。
祖父は大酒のみだったが酒に弱かった。
その遺伝子を私も持っている。
なので、アルコール度数の低い「ほろよい」を買った。
期間限定の「ラムネサワー味」なのはビールに対するささやかな抵抗である。
さて、その日。
私は朝起きて身支度を整えると朝食を食べて通っているスポーツジムへ車を出した。
お盆の時期に特別プログラムを組んでいるので、それに参加するためだ。
(この時、全会員に開放されているので夜会員の私にも利用できた)
全プログラムが終わったのが午後二時。
コンビニで軽く食事をして家に戻り、洗濯物を洗い干す。
トースターに冷凍のピザを入れて焼く。
それが終わると早めに風呂を作り、薬を飲み、読書をする。
風呂が出来たので入り体を洗う。
それから、ローブのようなパジャマに着替る。
――え? 『ハードボイルド』なら全裸かジーパンだけはいて上半身裸が王道?
うん、私も腹が締まっていたらやりたいけど中年太りの女にそれはハードルが高い。
冷蔵庫から出した「ほろよい」と冷めたピザを食す。
感想は、「うーん、ピザは出来立てが美味しいよね」という平凡なものだった。
酒も「ほろよい」だからほぼジュース状態で飲めた。
正直、もう、師匠の『冷めたピザと気の抜けたビール』とは天と地ほどの差があるように思えるが、ドンマイである。
歯磨きをして私は寝た。
だが、酒と薬の組み合わせは強烈だったらしい。
夜七時半に寝たと思ったら起きたのは午前十時だ。
急いで朝食を食べ、今、こうして書いている。
ハードボイルドって何だろう?
寝起きの悪さなら、負けない気がするのだが……
夕方六時に私は冷めたピザを食べた 隅田 天美 @sumida-amami
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