玄人好みの戦闘

 ゲームでFPSやTPSをプレイした事がある人ならば、こう思った事はないでしょうか?

「シュワちゃんやランボーにできて、何でできないんだ」

 特殊訓練を受けた兵士というのは、銃一挺、ナイフ一本でも群がる敵を倒せる強靱さを持っている…という印象、または憧れのようなものを抱くのが、初心者、入門者であると、私自身がそうであった時、思っていました。

 本作は、その回答があるように感じられます。

 それは「できないのではなく、してはならない」

 一人の戦死、一人の負傷は、全体に悪い影響を及ぼし、分の悪いギャンブルという、これまたアクション映画を愛好する人が好きそうな言葉になってしまう訳ですが、ここに少しでも現実を加味するならば、決して失ってはならない仲間の命、人質の命に意識が向きます。

 失敗が許されないのではなく、成功が常識であるからこそ、仲間の命を場代にして人質の命を賭けるギャンブルなどしてはならない。

 翻り本作の見所は、爽快感を前面に押し出した作風ではない点だと私は思います。銃を持つ事、ハンドルを握る事のひとつひとつに血が通っている人間の姿を見れます。無敵のスーパーヒーローが悪人を蹴散らす事はなく、それぞれが身に着けてきた事を発揮し、任務を遂行する物語です。