逃げも隠れもするけれど、嘘は吐かない(欲望に関しては)

 そんな一言が浮かぶ物語です。

 特撮のお約束である勧善懲悪でもなければ、ピカレスクストーリーでもない、だけれど引き込まれる魅力、威力を持つ娯楽作でした。

 主人公は、どこかお人好しに思え、その性格故に苦労してきた、またこれからも苦労するのだろうと想像できるキャラクターです。その親しみやすさこそが、この物語全体に流れているような気がしてなりません。

 正統派とは、とてもではないですがいえないヒーローですが、その自分の欲望に対する素直さが、このボンノウガーというヒーローのパワーにもなるというシステム。

 面白いです。興味深いというのではなく、笑ってしまう方向に。

 脇を固める登場人物たちも、濃いという一言が実によく似合います。

 皆、揃って性格が良く、脇役ではなく「助演」と呼んだ方がイメージに合致する印象です。

 完璧な娯楽作、娯楽作として完璧…そういうしかない物語です。

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