タイトル通りの物語を表現豊かな美しい文章で綴った良作。見せないからこそ神秘的なエロスが生まれるんだな、と思い、そもそもエロスはどこに翼を休めるのか考え込んだ。それは「私」の身体なのか、優太の目の中なのか、それともクロッキー帳の中なのか。
見られたい「私」と見たくてもシャイで、まごまごする優太の探り合いも面白かった。ここでは二つの異なった「恥ずかしさ」が対立していると思う。一つはいわゆる露出狂と呼ばれ顰蹙される行為の恥ずかしさと、全裸の女性を見ることに対しての男子の恥ずかしさ。同じ恥ずかしさでも実際はまったく違う。しかしこの二つは二人の純愛の基ともなっているのではないだろうか。
誰にでもお勧めできる作品である。
日常のシーンを切り取った良い作品ですね。起こっていることは大事件ではないのですが、女体を晒したいという欲望がスパイスとなってどきどきしながら読めてしまいます。もう結構な年なのですが(笑)
初めは踊らされていた性がだんだん消えていき、芸術に対する情熱が勝ったシーンでは優太くんの画家としての才能が見えた気がしました。「戦闘モード」とは言い得て妙ですね。それだけに、結末に救われた思いがいっそう強くなります。
文章も読みやすく、最後まで負担なくさらりと読めました(「読みやすい」が褒め言葉と感じない人もいらっしゃると聞きますが、素直な感想なのでご容赦ください)。
名だたる画家の中には、ミューズを持っておられた方々も多いと聞きます。その人たちもこんな出会いだったのかな、と妄想広がる素敵な作品でした。これからも頑張ってください。
概要にある通り、純愛です。
読んでいて常に感じるのは、登場人物の年相応の爽やかさであり、題名にあるヌードモデルという単語は、文字通りラッピングに過ぎないものだ、と思いました。
変な下心があれば、たちまち崩れてしまうバランスだからこそ、この物語の二人は美しいのだと感じます。
特殊な欲望を抱えてしまった、半ば無理矢理な形で押し切って恋人関係になった等々、いくらでも下卑た展開に落ちてしまう要素があり、事実、下卑た展開に落ちてしまった作品がそこら中にある仲で、この爽やかな読後感を残し、誰もが感じた事がある放課後の教室に差し掛かるオレンジ色の陽光が似合う話に纏められたものを、私は他に知れません。
映画タイタニックと聞けば勿論誰しもが聴いた事があり、また休日に放送され、とあるシーンで食卓が凍り付く、なんて経験もあるかと思われます。
この作品はタイタニックの劇中にあった、女性のヌードを書くシーンを題材にしているのですが……
とにかく心理的描写が鋭いです。
説明的ではなく、感じた瞬間の心模様を切り取ったかの様な、描写と言葉選び。
繊細さと的確さを兼ねた筆力で、少女の熱情とそれに応える少年の画家としての姿を描かれています。
文字数も掌編といえるほどの量であるが故、無駄を削った作品内容がグッと刺さりました。
ヌードになった彼女が魅/見せたかったものとは。
それを受け止める少年の表現の結末とは。
空欄を埋めるように、その心模様の行方を求めてみてはいかがでしょうか
是非ともご一読を!