ヒーローなどいない。これは悪の戦いだ。

仮面ライダーやヒーローものの特撮などが好きな人にとっては極上のスイーツのような作品です。
しかも悪の組織が主人公というあまり表に出てこないストーリーになっていてどれだけ彼らが苦労しているかが分かります。
ヒーローと戦うだけで様々な障壁があるのだと思えてきて最初は悲哀さえ感じました。
メインキャラクターも誰もが個性的で一度読んだら忘れられないほどです。
カッコいいや可愛い、美しい、不気味など悪の組織はとても多様性があってヒーローたちよりも実は現代社会に向いているのでは?とも思えます。
何よりも上司に恵まれていて、大首領はとても物分かりの良い人です。
部下の能力を信頼して、適切な指示を出す。
全然悪じゃない!と云いたくなります。
このような組織なので異世界に転移しても、すごく的確に進行していきます。
捕虜を確保したり、レアアースを含んだ鉱石を採取したり、言語を解読したり。
いやいや慣れすぎでしょう!と思うのですが、そういえばこの人たちは悪の組織だったなと。
まあ、悪人ならこの程度のこと造作もないかとか思えてしまう文体が魅力的です。
ルビが適度にあるのですがどれもとてもカッコいいし、それが物語にドライブ力を生んでいます。
一話がとても長文なのですがそれも気にならないほど読ませます。
異世界に存在する魔王軍を現代兵器で無双していく内容です。
とはいえオーバーテクノロジーなのであまり現代科学の恩恵は感じられないかもしれません。
しかしその特殊な技術がどれも特撮風に作られているので読んでいて嬉しいです。
こういう科学も良いよねと思わせてくれるそんな作品です。
また物語に謎があり、それがどういう風に回収されていくのかも見どころかもしれません。
代表的なところとしては異世界に何故転移されたかでしょうか。
そういった要素もこの小説を読ませる原動力になっていると思いました。
悪の組織や異世界転移が好きな方は読んでみてはいかがでしょうか。

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