これは……発想の勝利ですね!
悪人がひとりとか、魔王がひとりとか、個別に転移するようなお話は見聞きした覚えがありましたが、悪の組織そのものが転移して魔王軍全体と一気に対立関係に陥っていく流れは、読んでいて一気に引き込まれました。
このお話を読んでいちばん感じることは各キャラクターの作り込みが大変素晴らしいところです! どのキャラも個性豊かで癖があって一筋縄ではいかない。さすが悪! 良さげな行いをしていても内心では悪巧みしていたりとか。悪人ばかりだから尚更。狐と狸の化かし合いです。
物語全体もとても面白いです。転移した悪の秘密結社は、端的に言えば仮面ライダーの悪の組織。元の世界で秘密裏に暗躍するために物資確保に苦労していた話なども出てきたりして、ああ、そうだよね。悪の組織ってそんな感じだよね、と共感してみたり。
転移直後に資源確保に走るところとかも、よく設定が練られていると感じました。「そもそも悪の組織って科学力すごいよね。人体改造とか洗脳とか平気でするし」って設定を地でいっているところも素敵でした。
また、対立する魔王軍側も魔王の恐怖政治具合がよく描かれていて、最初に接触する魔王軍側の指揮官の覚悟っぷりがそれを強調していて良かったです。ファンタジーの魔王ってこのくらい怖くないと魔王っぽくないですよね!
この先どうなっちゃうの!? と続きがとても気になります!
頑張ってください!
仮面ライダーやヒーローものの特撮などが好きな人にとっては極上のスイーツのような作品です。
しかも悪の組織が主人公というあまり表に出てこないストーリーになっていてどれだけ彼らが苦労しているかが分かります。
ヒーローと戦うだけで様々な障壁があるのだと思えてきて最初は悲哀さえ感じました。
メインキャラクターも誰もが個性的で一度読んだら忘れられないほどです。
カッコいいや可愛い、美しい、不気味など悪の組織はとても多様性があってヒーローたちよりも実は現代社会に向いているのでは?とも思えます。
何よりも上司に恵まれていて、大首領はとても物分かりの良い人です。
部下の能力を信頼して、適切な指示を出す。
全然悪じゃない!と云いたくなります。
このような組織なので異世界に転移しても、すごく的確に進行していきます。
捕虜を確保したり、レアアースを含んだ鉱石を採取したり、言語を解読したり。
いやいや慣れすぎでしょう!と思うのですが、そういえばこの人たちは悪の組織だったなと。
まあ、悪人ならこの程度のこと造作もないかとか思えてしまう文体が魅力的です。
ルビが適度にあるのですがどれもとてもカッコいいし、それが物語にドライブ力を生んでいます。
一話がとても長文なのですがそれも気にならないほど読ませます。
異世界に存在する魔王軍を現代兵器で無双していく内容です。
とはいえオーバーテクノロジーなのであまり現代科学の恩恵は感じられないかもしれません。
しかしその特殊な技術がどれも特撮風に作られているので読んでいて嬉しいです。
こういう科学も良いよねと思わせてくれるそんな作品です。
また物語に謎があり、それがどういう風に回収されていくのかも見どころかもしれません。
代表的なところとしては異世界に何故転移されたかでしょうか。
そういった要素もこの小説を読ませる原動力になっていると思いました。
悪の組織や異世界転移が好きな方は読んでみてはいかがでしょうか。
悪の秘密結社・ジャクルトゥに属する主人公・トレバー。戦場で鬼神と呼ばれる彼は、仲間の女性・キルケーたちとともに、組織の長・大統領のもと、目的である世界征服を果たすために戦う日々。
しかしある日、突如としてジャクルテトゥは本部基地ごと異世界へ転移してしまう。
移転した先の世界は魔王・ラゴウ率いる魔王軍が蔓延り、人々を脅かしている状態。ジャクルトゥの面々は、はからずもその魔王軍と対峙することになる。
魔王軍と戦う=移転先の人々を結果的に救うことになり、邪悪な組織なのにありがたがられているのが面白かったです。
トレバーやキルは改造人間で、技術力の結集である防護スーツを纏って戦い、スマートウォッチなどの機械やバイクを駆使します。
一方で、移転先に蔓延る魔王軍は魔法を使うので、両者の激突するシーンはバラエティ豊かな技が繰り出してとても魅力的。
トレバーの仲間のキルケーとクリムゾンが会話するシーン、喧嘩しなれているから逆に仲が良さそうというか、丁々発止のやり取りに吹き出しました。
鬼神とあがめられるトレバーですが、戦っていないときはごく普通の男性としての一面も。
ジョアンが出てきて、トレバーがギターのクラス判定を受けに行く場面は、バトルから離れた日常エピソード。鬼神でないトレバーの素が垣間見えるシーンでとてもよかったです。
そして魔王軍も妙に人間臭いところがあるというか。無情な敵として描かれているだけではなかったので魅力的でした!
今後、このお話はどういう風に幕を引くのでしょうか。
連載頑張ってください!