主人公は勇者の友人。それが選びとる未来。

あまり読まない異世界ものですが、そんなことを感じさせないほどに面白いです。
勇者の友人というという能力を与えられた主人公が勇者パーティーをクビになるシーンはテンプレとは分かっていてもとても悲しくなりますし、その理不尽な境遇は何故か現実的に感じられ、勇者たちの性格の悪さは力を手にしたものの傲慢さがきっちりと文章にされています。
勇者の友人は閲覧することも不可能で、ある意味ミステリ的な構造になっています。
もちろん、タイトルやタグでその内容を察することは出来ますが、主人公が冒険者ギルドを訪れ、別のパーティーとダンジョンを攻略するところに違和感として出土します。
何故かルイーゼという少女がとても強くなるのです。
その強さは主人公が疑問に思うほどで何かがあるなと感じさせます。
そういう物語的な引きの強さを作者さんも理解していて中々明らかになりません。
またゲーム的な世界観はお約束とはいえ魅力的に感じられました。
読んでいてゲームがプレイしたくなる小説で、そういう設定あったなあという漠然としたルールを理論として構築するのは素晴らしいと云えます。
またダンジョンを適当に攻略するのではなく主人公の知識を用いて丁寧に描くというのは読んでいて楽しいです。
パーティーはハーレムで女性四人に対して男性が二人しかいませんが、最初から主人公に何故か好感を抱くことはなく、主人公の淡い思いとして記されているのは私としても読みやすかったです。
あまり最初からベタベタするのが好みでない人もオススメできます。
また主人公自体がチートではないというのもジョジョのスタンドバトルのような形で利用できるのではないかな、とも思いました。
頭脳戦になればいいなという想像力を刺激するところも魅力です。
そして主人公の持つ能力の正体とは?
伏線もありますのできっと素晴らしい展開になると思います。
ここからどんな冒険が始まっていくのかもとても楽しみな作品です。
異世界ものを普段読まない人も読んでみてはいかがでしょうか。

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