言葉にできない絆が、ここに!

 海賊といわれ、最初に思いうかべてしまうイメージは、カリブの海賊と、麦わら帽子のアレですが、それとは全く違う海賊がいます。

 様々な技能を持ち、性格に一癖二癖ある仲間達が繰り広げる痛快な物語である事は共通ですが、そのキャラクターに、差異があると感じます。

 よくあるのは「それぞれ性格は違えど、根っこにある熱い想いは同じ」なのだと思いますが、本作の登場人物は、その根っこも違うような、そんな気がします。

 性格は当然、違うし、目的もそれぞれ違う、そして根っこにあるものも…やはり違うものがある登場人物たちが何故、一緒にいられるか、と考えた時、この物語は、登場人物たちが少しずつ自分の大切なものを出し合い、そして居場所を作っている物語だと思いました。

 様々な危機があるけれど、自分たちの居場所を作っている仲間だからこそ協力し合えるし、大切な者を出し合っているからこそ信頼できるのだ、と。

 悪くいうならば損得感情ともいえてしまうところが、「海賊」という言葉にぴたりと一致した気がします。

 などと理屈をこねくり回していると、ふと船長の言葉が聞こえてきたような気がします。

 彼はこういったように感じます。「考え方も感じ方も、自由だよ」と。

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