伝説のトマト魔導師様トマ!
「まぶしい!」
なにこれ!何かのイベント!?それとも爆弾でも爆発した!?
ってそんなわけないか。
あっ光が弱まってきた。なんとか目を開けそう。
私はゆっくりと目を開いた。
「!?」
えっ!?思わず目を閉じたけど、今目の前にでかいトマトがあったのだけど!?ゆ、夢?
…とにかく、もう一度目を開けよう。
「…やっぱり、巨大トマトがある。」
なにあれ、直径1メートルはありそう。どういうこと!?品種改良なの!?しかも髭みたいのが生えているし、王冠なんて乗っかっているのだけど!?
てかここはどこ!?なんかお城みたいなところにいるのだけど!?しかも部屋中にトマトがいっぱい!なんで!?私が赤茄子だからか!?もしかして私はこの巨大トマトにされるの!?
突然のことで頭が混乱する。しかし私に更なる混乱が訪れる!
「おお!おおお!おおおお!ようこそいらっしゃい下さいましたトマ!伝説の“トマト魔導師”様トマ!」
「トマトがしゃべったぁぁぁ!」
うそ、なにこれ夢?目の前の巨大トマトがしゃべったのだけど!?
よく見るとアニメでありそうなデフォルメされた目とか口とかがトマトにあるけど。
ああ、夢なら早く覚めてほしい。
「大丈夫トマか?伝説のトマト魔導師様トマ」
「え、ええ」
全然大丈夫じゃない。
「良かったトマ!伝説のトマト魔導師様に何かあったら大変トマ!世界が終わるトマ!」
「そうだトマ。」
「世界が終わるトマ!」
「伝説のトマト魔導師様が来てくれて嬉しいトマ!」
まわりのトマトたちも巨大トマトに合わせしゃべり始める。
な、なにこれ。周りのでかトマトたちもしゃべり始めたのだけど、怖い!いや、それよりも!
「あの、伝説のトマト魔導師様って…。」
「もちろん、そなたのことトマ!」
「えっ…。」
そんな予感していたけれども!伝説のトマト魔導師ってなに!?
「いや、私はそのトマト魔導師とかじゃないです。普通の大学生ですし、魔法とか使えないですし…。」
「ん?ダイガクセイ?それは何トマ?」
「大学と呼ばれるところで勉強する人です。」
「学生トマか!でもそなたは誰が見たって伝説のトマト魔導師様トマよ?」
「どういう…?」
「それはトマ、誰か鏡をもってくるトマ!」
「かがみ…。」
メイドの格好をしたでかいトマト達が私のもとに鏡を運んできた。トマトをみるとツルが4本生えており、足と腕の役割をしていた。
私は目の前に置かれた鏡を見た。
「なっえっ!?」
私の服装は大学に行った時の服装ではなく、ザ・魔法使いって感じの服装になっていた。黒いローブに黒いとんがり帽子。足元には長い杖が置かれている。
「なにこれ!?」
「それは伝説のトマト魔導師様の装備でございますトマ。」
巨大トマトの横にいた少し細めのトマトが答える。
「まず、帽子から『伝説のトマト魔導師のトマトとんがり帽子』ですトマ。そちらは装備者のトマトパワーを劇的に高めるとともに、トマト魔法の威力が跳ね上がる効果があるトマ。そしてなによりそのとんがり帽の先についた可愛らしいトマト!そのトマトで帽子はただのとんがり帽から時代の最先端をいくファッションアイテムに早変わりトマ!歩くたびにふらふらと揺れるトマトは世の男女の心を打ち抜き彼らの保護欲を限界まで高めること間違いなしトマ!現に私も今孫娘にお菓子をねだられた以上にお菓子を買ってあげたいトマ!存分に甘やかしたいトマ!もうその帽子だけで世界を支配できるトモ!それなのに貴方の耳についたイヤリング!それは『伝説のトマト魔導師の半分トマトのトマトクリスタルイヤリング』トマ!両耳につけたイヤリングは装備者のトマトパワーの安定性を揺らぎが無いまでに高めるトマ。更にはイヤリングが装備者に代わり世界に干渉するため装備者は詠唱をしなくてよくなるトマ。そしてなにより!1つのちっちゃなトマトを縦に切ったような形の神秘的なペアのイヤリングは世界のどの宝石財宝にも勝るトマ!日の光に月の光に煌めくそれはまるで母なる大地の女神様方の輝きトマ!その輝きを目にした者はたちまち平伏してしまうトマ!現に私も今すぐ貴方様に平伏して感謝の言葉を淡々と述べたいトマ!もう立っているのが苦しいトマ!もうその帽子とイヤリングだけで宇宙を支配できるトマ!なのになのにそのローブ!それは『伝説のトマト魔導師の隠れトマトの魔導ローブ』トマ!そのローブは装備者のあらゆる防御力をこれでもかというくらいに高めるトマ。その防御力は例え隕石が直撃しても無事というほどトマ。まぁそんなものはおまけみたいなモノトマ。メインは何といってもそのローブの裏地にこっそりと描かれているトマトですトマ!普段なら装備者しか見ることができないその隠れトマトはそのローブを永遠の憧れの的にしたトマ!見たものを絶対的な幸福に導く隠れトマト!誰もが見たい!でも見れない!だけど見たい!だけど見れない!見たら幸福になれる!でも見てしまうときっと他のことでは幸福になれなくなってしまうトマ!そんなジレンマを羽織る貴方は誰もを魅了するトマ!私は貴方を一目見た瞬間から枯れた心が蘇り妻と出会ったあの時以上に貴方に魅了されましたトマ!もはや全宇宙で貴方に魅了されない生物などいないでしょうトマ!あなたが全宇宙の初恋の人になるトマ!そしてそしてそしてそしてそしてその杖トマ!その杖は『伝説のトマト魔導師の豊穣を約束するトマト杖」トマ!その杖をふるえばあらゆる農作物が健康に劇的に早く成長するといわれるトマ。しかもトマ!その杖の力があれば種が無くても無限大にトマトを作ることができるトマ!はぁなんて素晴らしいトマ!凄いトマ!トマト形の宝石がはめ込まれているその杖の美しさはまさに宇宙の理トマ!すべての芸術はその杖に集約するといっても過言じゃないトマ!その杖を持った貴方は宇宙の法トマ!秩序の番人トマ!誰もが貴方の奴隷になること間違いなしトマ!どうか!どうか!私に命令してくだされませご主人様トマ!はぁ…はぁ…これで説明は終わりトマ…すべてを身につけた貴方様はまさに…ガクッ』
すべての説明を終えたそのトマトは倒れた。
部屋に静寂に包まれる…。
パチッ
誰かが手を叩いた。
パチッパチッパチッ
次第に大きくなり
パチパチパチパチパチパチパチパチ
大拍手となった。
「えええ~!?」
ただ一人、私だけが唖然としていた。
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