トマトクエスト
トマトとタケノコ
序章
プロローグ
「じゃあね赤ちゃん!」
「うん、じゃあね聖良。」
2人の女性が丁路地で手を振り別れる。
「あっ聖良。明日漫画よろしくね?」
「うんっわかってるよ。今回のは面白いから楽しみにしててね。」
赤ちゃんと呼ばれた女性が聖良という女性を呼び止めた。どうやら漫画を借りる約束をしていたらしい。それに対し振り返った聖良は笑顔でうなずいた。
「ありがとう!」
「じゃあね。バイト頑張って!」
「うん。」
再度別れの挨拶をして、2人はそれぞれ別々の道を歩き始めた。
ト マ ト ク エ ス ト(^^^”)
「さてと、少し早いけどバイトに行こうかな。」
私の名前は「赤茄子」。“あかなす”と読む。あまり他に見ない名前だと自分でも思う。両親は共に赤茄子が大好物であったため、娘である私にこの名前をつけたそうだ。あまりにも安直すぎると私は思う。
そんなベジタブルな名前を持つ私は、今からバイトに行く。毎週この日は大学の講義が午前中だけであるため、バイトのシフトは他の日よりも開始が早めに、そして長く入れている。
バイトは個人経営の喫茶店の店員だ。店主は若いがとても穏やかで優しく、お店に着くと、笑顔で向かい入れてくれるし、お客さんが居ない時や常連さんだけの時は、こっそりケーキをくれたりしてくれる素敵な人だ。
お店自体は大通りから外れたところにあるためか、お客さんが少なすぎず、多すぎないといったバイトとして働く分にはちょうどいい感じだ。賃金は最低賃金であるが、忙しくないし、店主も良い人で、お客さんも気さくな人ばかり、神バイトである。
ただ、1つ問題があるとすれば、店主には恋人がいることかな。本当に、残念だ。
そんなわけで、バイトがある日はとても気分がいい。毎日シフトを入れたいくらいなのだけど、流石に無理だった。店主に言ったら、「気持ちは嬉しいけど、しっかり休まないと駄目だよ。もし風邪ひいて、大学の講義に行けなくなったら大変だよ。」と言われた。私としてはバイトしていた方がリラックスできるのに。
まぁ、バイト以外にも、友達と遊ぶなどやることはある。それこそさっきは親友である聖良と昼食を取っていた。
彼女とは大学に入学してから知り合った。同じ学部で、入学前のオリエンテーションでたまたま隣の席に座って話かけたのがきっかけだ。聖良は超絶美人である。スタイルも良く、綺麗な髪をストレートに伸ばしていた。私は髪に少し癖があるのでどうしたらそんな綺麗な髪になるのか気になったのだ。
それからは、趣味とか結構違うのに、相性がいいのか同じ授業取ったりとか、休みの日に共に出かけたりしていたら、なんでも話せる親友になっていた。
今日のランチは、大学近場のファミレスで済ませた。そこでは色々と話し、そこで漫画の話になった。聖良は大のマンガ好きで、よくどのマンガが面白いか話してくれる。私はあまりマンガを読んだことなかったが、彼女に貸してもらったオススメのマンガを試しに読んだらハマってしまった。
それからは、ちょくちょくマンガを貸してもらっている。今日も「とっても面白いマンガ見つけたから貸すね。」と言われ借りる約束をした。彼女がすすめたマンガは外れが無いから楽しみだ。
「あっポストが見えた。」
なぜこんなところにあるか分からない色褪せたポストがある丁字路を曲がれば、バイト先の喫茶店だ。
今日はどの常連さんが来ているかな。田中さんかな。林さんかな。それとも…
考え事をしていた私は気が付かなかった。
「この時間だから…。」
足元に赤く光り輝くマンガでみるような魔法陣が出現していたことに。
「ん?…きゃあっ!?」
気が付くがもう遅かった。魔法陣はその輝きを増す。
「ちょっなにこれ!」
魔法陣から噴出した光は私を包み込み。
この世界から私を連れ去った。
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