タケノコ将軍現るノコ!
「ノッコッコッコー!伝説の赤茄子魔導師を連れてくるとはお前らよくやったノコ!」
周りに10人(?)くらいのタケノコを従えた、ごつくてでかいタケノコがノコッチ達に向けて言う。
「ノコ?この人間は伝説の赤茄子魔導師ノコ?」
「そうだノコ。昔、グレートトマトマキングダムで見せてもらった伝説の赤茄子魔導師の装備を見につけているから間違いないノコ!占い師が言っていた『伝説の赤茄子魔導師が現れた』という占いが当たったノコ!」
どうして私が伝説の赤茄子魔導師だというのが分かったのか理由が判明した。はぁ、やっぱタケノコ達についていくのじゃなかったわ。
「ワシは大タケノコ殿様の配下の1人。タケノコ将軍ノコ!殿さまの命によりお前を倒すノコ!さぁお前らそいつを囲むノコ!」
タケノコ将軍が手下たちに命令する。くっどうしよう。逃げようにもすぐ隣にはノコッチとノコスケがいる。仮に二人を振り切れても不慣れな森の中でこの大勢のタケノコらから逃げ切るのは不可能だろう。
私が身構えてどうしようかと考えていたらノコッチがこちらを向いた。
「トマトは本当に伝説の赤茄子魔導師様ノコ?」
タケノコ将軍が言ったことが信じきれないのかこう聞いてきた。
もしかしたらごまかせるかもしれないと一瞬思ったが、どちらにせよタケノコ将軍が確信を抱いているから意味はないだろう。
「そうよ。トマト達が言うには私は伝説の赤茄子魔導師らしいわ。」
「…!?」
ノコッチが目を見張る。きっと自分たちが道案内していた人間が敵だと知って驚いているのだろう。
「すごいノコ~!すごいノコ~!」
「えっ?」
突然ノコッチの横で話を聞いていたノコスケが騒ぎ始めた。
「まさか伝説の赤茄子魔導師様に会えるなんて驚きノコ!」
ノコッチもぴょんぴょん跳ねて騒ぎだす。
「ホントに伝説の赤茄子魔導師様ノコ!?」「すごいノコ!カッコいいノコ!」「魔導師様ノコ!魔導師様ノコ!」「初めてみたノコ!」「サイン欲しいノコ!」「帰ったらみんなに自慢するノコ!」
タケノコ将軍の周りにいたタケノコ達も騒ぎ始めた。…なにこれ?
「お、お前ら何をしているノコ!?あいつを逃げないように囲むノコ!」
タケノコ将軍が騒ぎ始めたタケノコらに命令するが、誰も言うことを聞かない。
「ねぇねぇ、みんなどうしたの?」
私も訳がわからず隣で騒いでいるノコッチらに尋ねる。
「みんな喜んでいるノコ!伝説の赤茄子魔導師様といえばこの世界の英雄ノコ!騒がない方がおかしいノコ!」
「そうノコ~!」
ノコッチとノコスケが胸を張り言う。
「そ、そうなんだ。」
でも私ってあなた達の敵じゃないの?
「こらー!!お前ら言うことを聞けノコオオオオ!囲むノコオオオオ!」
タケノコ将軍が全身を真っ赤にしてわめき散らす。が、
「「「「「「「「なんでノコ?」」」」」」」」」
それに対し、心底わからんって感じにタケノコ達が一斉に首を傾げる。
「殿様が配下全員に下した命令ノコ!ワシ等が倒して武勲をあげるノコ!」
槍を天に掲げてタケノコ将軍が叫ぶ。
「だから慌ててノコらを連れだしたノコね。」
ノコスケが冷めた口調で言い放った。
「いい迷惑ノコ!」「悪い奴がいるからっていうから休憩時間だったのに来たノコ!」「こっちは休みだったノコ!」「
「なっ…。お前ら殿様の命令ノコよ!?」
「なんで殿様の命令で伝説の赤茄子魔導師様を倒さないけないノコ?」
「なんでって、殿様が偉いからに決まっているノコ!殿様が倒せと言ったら倒すノコ!だからこいつは悪者ノコ!」
タケノコ将軍が槍を振り回しながら言う。あぶない。
「…。」
タケノコらが押し黙る。それを見てようやくわかったかとタケノコ将軍が安心した表情になる。
私は私でまずいという顔になる。なんだか助かりそうな雰囲気になっていたのに形勢逆転してしまった。
「…ノコ。」
「…ん?」
ノコッチが何かを言ったが聞き取れなかった。
「今なんていっt…」
「あほノコ!!!!」
ノコッチが大声で叫んだ。
「伝説の赤茄子魔導師様が悪者だというなんてあほノコ!ばかノコ!」
ノコッチが体を真っ赤にして言う。
「そうだノコ!」「伝説の赤茄子魔導師様が悪者なわけあるかノコ!」「倒すなんて馬鹿ノコ!」「何を言ってるんだノコ!「魔導師様に失礼だノコ!謝るノコ!」「ひげもじゃでかタケノコ謝るノコ!」
ノコッチに続いて文句の嵐が吹き荒れた。
「お前ら!殿様の命令が聞けぬノコか!?この国で一番偉い方の命令ノコよ!」
タケノコ将軍が目を見開き言う。
「聞けないノコ!」「そもそも殿様より伝説の赤茄子魔導師様の方が偉いノコ!」「そのとおりだノコ!」「伝説の赤茄子魔導師様は世界一偉いノコ!」「調子に乗るんじゃないノコ!」「少し考えればわかるノコ!」
「な、な、な、」
集中砲火をくらいタケノコ将軍が震えている。
見ていてなんだか可哀そうになってきた。
「お、おまえら言うことを聞かないと晩飯抜きにするノコ!」
「横暴だノコ!」「すぐ権力を振りかざすノコ!」「わがままノコ!」「休日を返せノコ!」「そんなんだから殿様に渋い顔されるんだノコ!」「すぐ大声を出すのやめろノコ」「食事中に騒ぐのも止めて欲しいノコ!」「すぐに命令を変えるのもやめろノコ!」「トイレ臭いノコ!」「いびきもうるさいノコ!」
どんどん内容がタケノコ将軍個人に対するものになっていく。
「んっぐっお、お前らクビにして、やるノコ。」
タケノコ将軍はもう泣きそうになっていた。もうやめてやりなよタケノコ達…。
しかし、よほど普段からの鬱憤があるのか文句の嵐が止まらない。
「すぐまた権力を使うノコ!」「それをやめろと言っているノコ!」「横暴だノコ!」「クビにできるものならやってみろノコ!「やってみろノコ!」「赤ちゃんからやり直せノコ!」
なんだか私まで怖くなってきた。
「そうだノコ!赤茄子魔導師様タケノコ将軍にお仕置きして欲しいノコ!」
「えっ!?」
ノコッチがとんでもないことを言い出した。
「それはいいノコ!」「このわからずやに教えてやって欲しいノコ!「成敗ノコー!」「倒すノコ!」「赤茄子魔導師様やっちゃってノコ!」「魔導師様の力が見えるノコ~!」
「ちょっちょっと!?」
急に流れが変な方向になった。
「タケノコ将軍なんかやっつけてしまうノコ!」「将軍は口だけノコ?」「そんなに武勲を上げたいなら1菜でやってみろノコ!」「無理だと思うノコ~」
「ちょっとやめなさいって!」
タケノコ達がタケノコ将軍を挑発する。いやいや何してんのこの子たち!?
「うおおおおおおおおおおおお!やってやるノコおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
タケノコ将軍が挑発に乗り雄叫びをあげた。
「…。」
あ~あ、どうすればいいのよこれ…。
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