タケノコ将軍消滅しちゃった…
「……。」
ど、どうしよう!?タケノコ将軍を跡形もなく消し飛ばしてしまった!で、でもまさかこんなに威力が出るとは思わなかった!やばい頭が混乱する。
戦闘中で慌てていたことと、『トマット』がそんなに威力のある魔法じゃなかったこともあり、何も考えず頭に浮かんだ魔法を使ってしまった。今考えれば食べたトマトはあり得ないくらい美味かったから、あれはきっと強い魔法を撃てるレアなトマトだったんだろう。
そういえばタケノコ達も静かだ。彼らは散々将軍に対して文句を言っていたけど、流石に居なくなると悲しいのだろう。本当にごめんなさい。
そう心の中で彼らに謝っていると。
「ノ…。」
誰かが声を発して、
「「「「「「「「「「「「ノコーーーーーーー!将軍をやっつけたノコーーーーーーー!」」」」」」」」」」
「えええええええええ!?」
まさかの大喜びで、私は思わず叫んでしまった。
「赤茄子魔導師様ありがとうノコ!」「よくやったノコ!」「流石英雄ノコ!」
タケノコらに礼を言われてしまった…。どれだけ彼は嫌われていたのだろう…。
でも、私はわざとではないとはいえ、タケノコ将軍をこの世から消し去ってしまった…。人間ではないとはいえ、人間と同じように喋り動いていた。生きていたのだ。それを私は…。
「いえーいノコ!」「ヒャッホ―ノコ!」
私の気持ちとは裏腹にタケノコ達は喜んでいる。…この私の気持ちはどうしたらいいんだろう。
「赤茄子様ありがとうノコ!…どうしたノコ?」「ノコ?」
「ノコッチ、ノコスケ。」
私が1人悩んでいると2人が近寄ってきた。
「いや、あの、私、将軍を、こ、ころし…。」
ダメだ上手く声が出ない。命を摘み取ってしまったことに体が震える。
「大丈夫ノコよ~。みんな喜んでいるし、誰も恨んでないノコ。」
ノコスケがマイペースな口調で言ってくれる。彼のマイペースさがなんだか優しく感じる。
「で、でも!」
「それに、また生えてくるノコ。」
「へ?」
生えてくる?
「赤茄子様は異世界から来たから知らないノコね。この世界では病気や寿命以外で亡くなった場合は『再誕の大森林』に生えてくるノコ。」
ノコッチが説明してくれる。
「い、生き返るってこと?」
「簡単に言うとそういうことノコ。」「ノコ~。」
「!?」
なんだ…生き返るのね。
「よ、よかったぁ~~~~。」
私は安堵から大声でそう叫びその場にへたり込んだ。安心したら涙が溢れ出てきた。
「どうしたノコ?」「赤茄子魔導師様に何かあったノコ?」
私の声に気が付き、他のタケノコ達も集まってきた。
集まってきたタケノコ達にノコッチが説明する。
「赤茄子魔導師様は優しいノコ!」「慈悲深いノコー!」「流石英雄ノコ!」
説明を聞き終えたタケノコ達が私を励ましてくれる。
「それにしても、気にし過ぎノコ。仕掛けてきたのはタケノコ将軍ノコ。それにあっちも本気だったから、赤茄子様は何1つ悪くないノコ!」
ノコッチが自信気にそういう。
「そうノコ!」「ノコッチの言う通りノコ!「赤茄子魔導師様は悪くないノコ!」
他のタケノコらも同調する。…ん?でもまってタケノコ将軍をあそこまで本気になったのはあんたたちのせいよね?
まぁそれは置いといて、
「ぐすっ。みんなありがとう。」
私は涙を袖で拭き、笑顔で礼を言った。
それから私が回復するまでタケノコ達とおしゃべりして過ごした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます