和佳子とジョン
ないに。
「うわあ、じいちゃんその犬どしたん!?」
「うわあ、じいちゃんその犬どしたん!?」
「和佳子、お前欲しがってたろう? じいちゃんが買ってきてやったぞ。一応柴犬で血統書付きとは言うてたけど、あやしいのう。それにこいつ、別の犬と喧嘩して前足に怪我しとるけんて店で苛められとってなあ。しばらく歩けへんかもしれんぞ」
「へー」
和佳子は、怯えたようなつぶらな目を見詰めた。
じいちゃんに抱きかかえられた茶色い子犬は、和佳子を見て震えている。
よくわからない。
テレビを見て飼ってみたい! と思っていたし、わくわくしていた。でも、実際に見てみるとそうでもなかったのかもしれないと和佳子は思った。
「和佳子、足の怪我が治ったら散歩してやれよ」
「はーい?」
「名前は何にするんか決めたんか?」
「うーん、ジョン!」
どこからか湧き出てきた名前を答える和佳子。
それで名前はジョンになった……そう思っていたのに、和佳子のお母さんは「ジロウ」が良いと言い、お父さんは「フジオ」が良いと言い、でも和佳子が「ジョン!」と呼ぶとその茶色い子犬は「ウォン!」と元気よく吠えたことで「ジョン」に決定した。
――後に、「ジョン」は犬の名前としては一般的に過ぎる名前だと知って和佳子は「珍しい名前だと思ったのに!」と地味にショックを受けることになるのである。
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