隣家のおばちゃんが、
「それでは、ありがとうございます。大切にいたしますので、心配はなさらないでください。お会いしたければ隣ですし、いつでもいらしてくださいね」
にこやかにお礼を言った隣家のおばちゃんが、深々と頭を下げる。
ジョンが隣家にもらわれていくことになった。例の、犬小屋に潜り込んでいた子供がどうしてもと親にねだったのだそうだ。
うちのばあちゃんは、ジョンはもういい年の老犬だからと断っていたらしいのだが、隣家の猛攻ぶりについにばあちゃんが折れたものであるらしい。
「和佳子はそれでええな?」
「うん」
和佳子は、アイスキャンディをかじりながら答える。
玄関で、新しい首輪をしたジョンがじっと和佳子を見上げている。
ハッハッと相変わらずの息遣いだった。
「またなあ、ジョン」
和佳子が言っても、ジョンは吠えない。
ハッハッと息をするだけだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます