隣家のおばちゃんが、




「それでは、ありがとうございます。大切にいたしますので、心配はなさらないでください。お会いしたければ隣ですし、いつでもいらしてくださいね」

 にこやかにお礼を言った隣家のおばちゃんが、深々と頭を下げる。

 ジョンが隣家にもらわれていくことになった。例の、犬小屋に潜り込んでいた子供がどうしてもと親にねだったのだそうだ。

 うちのばあちゃんは、ジョンはもういい年の老犬だからと断っていたらしいのだが、隣家の猛攻ぶりについにばあちゃんが折れたものであるらしい。

「和佳子はそれでええな?」

「うん」

 和佳子は、アイスキャンディをかじりながら答える。

 玄関で、新しい首輪をしたジョンがじっと和佳子を見上げている。

 ハッハッと相変わらずの息遣いだった。

「またなあ、ジョン」

 和佳子が言っても、ジョンは吠えない。

 ハッハッと息をするだけだった。

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