ジョンの散歩は0歩から始まって、
ジョンの散歩は0歩から始まって、隣家の塀が終わる50メートル程度、田んぼのあぜ道の終わり……と順調に距離を伸ばしていった。
ジョンはすくすくと大きくなって、和佳子がちょっかいを出すうちに図太く成長したのか、半年も過ぎると普通に散歩をして歩けるようになっていた。
なんだ、普通に歩けてんじゃん。
その頃になると和佳子は犬の散歩に飽きて、犬のリードを外した。庭の門扉は開け放たれている。
ジョンは自由になった。
それはイケないことだよ、和佳子ちゃん……けれども、教える大人は誰もいない。
「おい、ジョン。リードは外してやったけど、首輪は苦しくてもしとけよー」
ウォン!
「良い返事やなあ。絶対にわかってないし。あはは、間抜け面~」
和佳子はジョンの顔周りを適当にもふってもふった。
「毛質かたいっ。こんなもんなん? ……お手っ」
ウォン!
「うわ、足が上がってないわ。ジョン? こうするんよっ」
無理矢理に足を引っ張って、和佳子は自分の手の上にのせる。
キャイン!
「ほら、こう! お手!」
適当なスパルタ教育は、ついに実を結ぶことのないまま和佳子が飽きるまで続くのである……。
ジョンがんばれ。
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