ヘリオトロープ咲き乱れる月明かりの下で

 温和で理知的な魔法使いが主人公の本作、まだ無名ながらも恋人と共に誠実に仕事に励んでいるところへ謎の少年が。
 魔法工房から夜の草原、そしてまた魔法工房へと舞台が移る内に、主人公達と少年の距離感が固まるようでどこか不安定そうでもある。しかし、それは巧妙な展開の冴えなのだ。
 そこへ、毒舌AIの登場を境に話は序破急の破に至る。ここに至り満を持して一同の精神的な間合いが固まるのだが、不思議な少年が示した『それ』こそが急をもたらし、一気に読者を桃源郷へと導くに至る。
 気づけば長々と語ってしまった。

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