魔法使いの羽ペンは奇跡を綴る(KAC1~10まとめ)

作者 水城しほ

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★★★ Excellent!!!

「かくて。『物語』は綴じられた――そして、ここに『一冊の本』がある。」連作短編「魔法使いの羽ペンは奇跡を綴る」最終回。……とでも書けばよいのに、あえて私は左記(もしくは上記)のひとこと紹介を選びます。実のところこの作品の事を知ったのはほんの少し前。七日目か八日目の結果発表が終わった後、感想を書きに行った時に連作短編だからと教えて頂いて、【フクロウ】まで遡りました。びっくりした。本気で奇跡だった。 
 全部独立してる。各話それぞれ基本情報も足りてるから何処からでも読める。勿論どれも面白い。キャラも立ってる。まず【二番目】の時には基本的な設定が出そろってる。さらに【シチュエーション――】で登場人物の立ち位置を整理。ここから「物語」が走り出す。冒頭で提示された「設定」は【お題】で伏線として回収される。投稿までの時間制限も字数制限もお題制限もある「企画合わせ」の進行の中で、キャラクター周りがさらに補強され、登場人物の関係性が深まり、謎が解け、一緒に冒険をして、恋して、想いを確かめあって、ふたりで成長する。最初はヘタレだった主人公。背伸びをして引っ張っていくヒロイン。しかし、事件を乗り越えて成長する主人公と歩幅を合わせるように、ヒロインもまた少しずつ等身大の自分自身を取り戻してゆく。【ルール】【最後の三分間】【最高の目覚め】は全部お題に則った上で山場になった。【三周年】でヒロインは入学時の出会いを語り主人公もそれに応えた。そして【おめでとう】は主人公がそれまでの自分を超克した時に贈られた言葉だった。……「すごいことをやっている人がいる」と思いました。だいたいなんでスタートの時点で、KAC4の【ペン】をクリアしているんだ。というか、これが物語の「メインテーマ」じゃないか。……ああ、まるで広葉樹材の、たとえばナラとか桜とかの堅い木でできた狂いのない積み木を丹念に積んでいくかのような、精… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

 温和で理知的な魔法使いが主人公の本作、まだ無名ながらも恋人と共に誠実に仕事に励んでいるところへ謎の少年が。
 魔法工房から夜の草原、そしてまた魔法工房へと舞台が移る内に、主人公達と少年の距離感が固まるようでどこか不安定そうでもある。しかし、それは巧妙な展開の冴えなのだ。
 そこへ、毒舌AIの登場を境に話は序破急の破に至る。ここに至り満を持して一同の精神的な間合いが固まるのだが、不思議な少年が示した『それ』こそが急をもたらし、一気に読者を桃源郷へと導くに至る。
 気づけば長々と語ってしまった。

★★★ Excellent!!!

魔法使いの青年、エヴェンが出会ったのは、異世界の少年カタリ。
カタリは人の内側にある物語を読み取ると言う能力で、かつてエヴィンが体験した物語を読み取ります。

エヴィンの物語。それはまだ彼が少年だった頃、魔法使い養成所で、落ちこぼれと呼ばれていた頃のお話。
若かったあの頃、仲間と共に旅をして、恋をして、成長していった、掛け替えの無い日々が、そこにはありました。


カクヨム三周年記念選手権用に書かれた「魔法使いの羽ペンは奇跡を綴る」と言う連作短編の完結編。ですが、今作から読んでも問題ありません。
今作を読んで、エヴィンがどのような物語を紡いできたのか気になったら、今度はシリーズ一作目から読んでいってみてください。
至極の物語が、あなたに読まれるのを待っています。