エピローグ 平凡な日常だからラノベは楽しめるのさ

 市立図書館には結局、閉館時間である午後8時まで居座ってラノベを読んでいた。

 それから帰宅すると、だいたい午後9時くらいになる。

 遅めの帰宅だが、父さんもだいたい同じくらいに帰るので、僕の家では午後9時が夕食タイムとなっている。

 いつものように夕食を食べていると……


「そういえば文彦聞いた? 柴藤さんの家の前で変質者が捕まったらしいわよ」

 

 母がとんでもない事を言い出した。

 

「綾乃さんは大丈夫だったの?」


 少し不安になって僕は尋ねた。

 

「大丈夫、捕まったのは昼間だし。よくわからないけど大きなナイフをもって倒れていたらしいわよ」


 僕はほっとした。

 綾乃さんは、幼馴染じゃないけど、大切な僕の日常の一欠片(ピース)だ。

 失いたくはない。


 ……なんてカッコいいこといっているけど、誰だって知り合いが不幸になるのは普通に嫌だろう。

 

 夕食を食べ終わったら、お風呂、そして学生らしく勉強教科書読むだけをする。


 こうして僕の一日が過ぎていく。


 ちょっとした非日常変質者の逮捕はあったけど、概ね普通の一日だった。

 

「さて、今日は寝るか」

 

 寝る前に、「LAIDBACKERS -レイドバッカーズ- THE NOVEL 」(角川スニーカー文庫:永菜 葉一著)を読む。

 アニメ映画の前日譚を描いたノベライズだ。

 1巻で綺麗にまとまっていて、いろいろとカオスな作品だが、寝る前はこれくらいがちょうどいい。

 

 僕はラノベが大好きだ。

 特に現代異能バトルが大好きだ。

 

 表向き、僕たちの住んでいる現代日本とかわらないけど、人々の知らないところで異能を振るいバトルをする作品たちをみるとワクワクする、ドキドキする。

 

 でも、それは幻想ファンタジーだから楽しめるのだ。

 平凡な日常、それでいいじゃないか。

 辛いことから人々は、楽しくラノベを読むことができるんだ。

 

 異能が存在し、人知れず、人が死に、人が哀しみ、人が不幸になる。

 そんな世界にはいたくない。

 

 僕はラノベを読み、友達とラノベを語り、普通に生きて、ラノベを読む。

 そして、いずれ運命の人眼鏡女性と出会い、結ばれ、ラノベを読む。

 

 そんな人生を送っていきたい。

 

 明日からも変わらない平凡で幸せな現代異能バトルラノベを読む日常を送れることを願って、僕は目を閉じた。 


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キミラノ、ボクリア 水無月冬弥 @toya_minazuki

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