概要
時の川の流れに乗って、旅するうちに船は、その行く先に水平線を見たのです
高校生の時に書いた小説です。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!「小学校の帰り道に、よく友達と笹の船を作りました。」
まず、著者が執筆爾時に高校生だったことは論点としない。
それくらい、普遍性のある、作者の年齢に関係のない秀作だからだ。
冒頭、「小学校の帰り道に、よく友達と笹の船を作りました。」とある。無論、象徴主義的によくできた出だしだ。「私」の人生を笹の船に象徴させてえがこうというのだろう。『雪国』のトンネルが主人公の人生を象徴しているのとおなじ構造の名文だ。でも、ちがうのだ。本作の主人公は人間の「私」ではなく笹の船そのものである。比喩ではない。笹の船が川をわたってゆくさまそのものが物語になっているわけだ。
嘗て、丸山健二の巨篇『千日の瑠璃』が大論争をまきおこしたことがあった。捨てられたタイヤや…続きを読む