ポエムで紡がれる絶品の青春小説


~どこまでも言葉の翼で飛んで行ける~

『光の三分間と声と言葉の青春』のテーマは? と問われたら、この一節を挙げたいと、私は思う。
 また、この小説は、迷い多き主人公の成長物語でもある。

 高岡第一高校の一年生、鷹岡哲仁は、倍率1.0倍だった第一志望の高校を不合格になった失望感もあり、無気力な高校生活を送っていた。中学まではさほど努力しなくても勉強ができた彼も、すべり止めで入学した高校の特進コースでは落ちこぼれの憂き目をみる。
 そんな彼の生活を一変させたのが、ディベート部の顧問、檜山先生から薦められた”詩のボクシング”全国大会への出場だった。

 ”詩のボクシング”とは、1対1のポエム対決。バトル形式でお互いにポエムを言い合い、どちらのポエムが良かったかを審判が判断する大会のことだ。

 哲仁の学生生活の苦悩はもとより、個性豊かな教師たちや、大会でチームを組む松里、中島とのやり取りは軽妙で、くすりと笑ってしまう。
 予選で、強敵の黒部高校とやり合うポエムバトルは、生き生きとした言葉の応酬が胸をすく。

 地区大会を勝ち抜き、『厨時代』とチーム名を付けて全国大会へと乗り込んだ彼らの対戦相手、『錆びた釘』『チームウミガメ』『則天去私』にもそれぞれのポエムに込めた想いがあり、孤独や心の揺らぎや、それとは正反対の未来へ強く進む力等、どの描写にも共感でき、随所に作者の瑞々しい感性が光っている。

 言葉が人の心を打つ力。それが、 ― 詩のボクシング ―

 あなたもその醍醐味をこの小説で味わってみてはいかがだろうか。
 

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