第34話 開拓23日目 壁起こし 上部壁パネル②
<続き>
簡単に設置できると考えていたロフトだったが、現実は違った。
合計八本準備しておいたロフト根太を下部パネルの上辺に上げる作業は結構大変だったのである。一本一本がそれなりに重量があり、それを自分の身長より高い位置まで持ち上げないといけないのである。
ロフト根太を設置する作業は、まずロフト根太の片端を下部パネルの上に引っ掛ける様に乗せた後、それを落とさない様に逆端を徐々に持ち上げ、逆側の下部パネルの上に乗せなければならないのであったが、脚立に乗ってもバンザイをする様な形での作業を強いられるため、肩と腕を負傷している状態では非常に辛かった。それを八本分も行わなければならないのである。
痛みと相談しつつ、毎回休憩を挟みながら一本ずつ、ロフト根太を持ち上げていった。
◇ ◇ ◇
ロフト根太を持ち上げた後は、そのロフト根太をコーススレッドを後で取り外しやすい様に斜めに打ち込むことで下部パネルと接合し、仮設の足場とした。
最終的な形としては、
上:ロフト根太
中:上部パネルの下辺
下:下部パネルの上辺
という順序での重なりとなるためこの仮設のロフト根太は後で取り外さなければならないが、一旦はこの仮設ロフトを使って上部パネルを上に持ち上げて設置していく。
◇ ◇ ◇
まず壁パネルを仮設ロフトに立てかけてから、自分は脚立を使って先に仮設ロフトに上がる。そして壁パネルを引き上げる。
仮設ロフトは足が落ちない様に間隔を狭めて設置しておいたがおよそ180cmの高さにあるので、下を見下ろすとそれなりに恐怖を感じた。
この上に立ち上がるのはさすがに怖すぎるので、出来るだけ腰をかがめて作業することにした。
まず仮設ロフト根太に干渉しない上部壁パネルから接合していく。位置を合わせて、仮止めしてから順に完全固定していくという作業順序は下部パネルの時と変わらない。
そして仮設ロフト根太に干渉しない上部パネルの接合が終わった後に、ロフト根太に干渉する部分の壁パネルを持ち上げて、ロフト根太を挟み込む形でその上に置いて、他のパネルと仮接合する。
現状の重なりとしては、
上:上部パネルの下辺
中:ロフト根太
下:下部パネルの上辺
という風になっているので、これから一本ずつロフト根太を取り外して上部パネルの下辺と重なり順序を変えていくという作業をしなければならないのだ。
◇ ◇ ◇
斜めに留めてあるコーススレッドを外し、一本ずつロフト根太を抜いて重なり順序を入れ替えていく。
上部パネルの重量は複数のロフト根太に分散されているとはいえ、それぞれのロフト根太にそれなりにのし掛かっているため、簡単に引き抜くことはできない。なのでプラスチックハンマーをでガシガシ叩いて徐々に位置をずらして取り外していく。
取り外したロフト根太は壁パネルの下辺の上に乗せて、あらかじめ墨線で位置を決めている場所に固定していく。この時、根太が斜めになっているのでぴったり位置を合わせることはできないため、後でもう一度抜いて再固定する。
仮固定に工程を挟む事によってコーススレッドのネジ穴が余分に開いてしまうかもしれないが、そのことは気にしないことにした。安全が何より重要なのである。見た目は気にしない。
その後、時間をかけて一本一本ロフト根太と壁パネルの順序を入れ替えていった。
◇ ◇ ◇
入れ替え作業が終わり、上部パネルとロフト根太を完全に固定することができたのは16時ぐらいだった。
まだ設置していない上部パネルが2枚残っているのと、壁枠だけ立てて合板を貼っていない上部パネルが複数枚まだあった。
現実的に考えて今日中に全ての壁パネルを仕上げることは難しいが、できるだけのことは今日中にやっておきたいと考えてこれからの作業順序を頭の中で再構成する。
物を持ち上げたり、位置を合わせたりといった作業は陽のあるうちに行わなければ危険だが、仮固定が済んだ後のビス留め作業は陽が暮れた後でもヘッドライトの明かりがあればできるのである。
そう考えた結果、残りの壁パネルの設置を優先して行い、合板の貼り付けや追加のビス留めは後回しにすることにした。
◇ ◇ ◇
淡々、しかし着々と作業を進めて行き、あたりがもう暗くなった頃に最後のビス留めが終わった。
無事壁パネルを全て立て終える事ができたのである。
明日からはいよいよ小家づくり最後の作業、屋根の施工を始める事が出来る。
◇ ◇ ◇
--経過--
進入路の工事 完了
資材の購入(基礎・土台) 完了
資材置場(仮)の建設 完了
基礎工事 完了
資材の購入(床材・壁材) 完了
土台 完了
床の施工 完了
資材の購入(屋根材) 完了
壁の施工 完了
壁パネルの作成 完了
壁起こし 完了
屋根の施工 NEXT
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