山奥の土地を買って自分ひとりで小屋を作る話

軽石

第01話 小屋作り開始

◇   ◇   ◇



 201x年5月。


 私は滋賀県の山奥でひとり、小屋作りをはじめた。



◇   ◇   ◇



 私が小屋作りのために買った土地は滋賀県の山奥にある300坪の山林である。


 この土地は自分に何かしらの縁のある土地というわけではなく、まったくの他人から、私自身が働いて得た資金で購入した、正真正銘の縁もゆかりも無い土地である。


 現在の所、この土地は人の手が入っておらず自然に任せるままとなっている。


 土地売買を仲介してくれた不動産業者に聞くところによると、以前の持ち主は先祖から相続したこの土地を持て余しており、ここ10年ほどは特に何かに使っていたわけでもないそうだ。


 土地の一部はアスファルト舗装されていない林道に面しているが、市街地や高速道路の出口からも遠く、アクセス性は極めて悪い。


 電気・ガス・水道といったインフラはもちろん通っておらず、辛うじてスマホの電波が1本立つ程度でおよそ人が住む場所ではないと言える。


 だがそれが良い。この条件こそ私にとってこの上になく魅力的だった。だから買った。


 私はこの土地を開拓し、2×4ツーバイフォー工法によるロフト付き6畳ほどのコンパクトな小屋を一人で建てようとしている。

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