第26話 開拓18日目 壁パネルの準備②

◇  ◇  ◇


 ここからの小屋づくりにおいて、最も警戒しなければならないのは『雨』だと考えている。


 なぜなら今回、床や壁に用いている木材に防水性はなく、雨に曝されると乾燥した木材は水分を吸収し、腐食や変形に繋がってしまうからだ。


また木材が一度濡れてしまうとそれを乾燥させるために更に手間と時間も掛けなければならなくなるため、大幅な作業時間ロスとなってしまう。


 土地が所在するここ滋賀県の5月の天気出現率では、31日間中の5日間が雨天傾向となっており、これから先の小屋建設期間中に雨が降る可能性は決して低くは無く、『雨は降るもの』と考え、対策をとるべきだろう。


◇  ◇  ◇


[ 開拓18日目 ]


 早朝、テントから出て空を見上げると、天気は曇り空の様だった。


 スマホの天気予報では、夕方頃から小雨が降るという予報となっていたため、今日は雨に警戒しつつ壁パネル作成の続きを行っていく。


◇  ◇  ◇


[ 壁枠の作成 ]


 今回つくる小屋は建物の4面のうち、長辺となる正面と後面は壁パネルを2つに分割して作るため6枚の壁パネルが必要となり、さらに各パネルは上部・下部の2枚ずつで構成する設計としているため全12枚の壁パネルが必要となる。このため壁パネルの作成にはかなりの時間が掛かると予想される。


 作成した壁パネルは逐次床の上に立てて行きながら作業して行くこともできるが、一度壁パネルを立ててしまうと雨が降った際にブルーシートで覆う作業が難しくなるため、今回はあらかじめ全ての壁パネルの作成をまとめて行い、立てる時は一気に立てることにした。


 壁を立ててから屋根を完成させるまでの期間を少しでも短くしたいのである。


 壁パネルは2×4材で壁枠を作り、その上に12mm構造用合板を貼るが、今回は壁枠をまとめて作った後に、まとめて合板を貼ることにした。基本的に同じ作業は同時にまとめて行いたい。


 枠材は昨日までの作業でサイズ通りに切断し、防腐剤の塗布も終わっているので今日はそれらを組み合わせていく。


◇  ◇  ◇


 枠材同士の接合方法について、本来の2×4工法ではCN釘を用いる様だが、今回はインパクトドライバーで打ち込むことができるコーススレッドを用いることにした。


 建設現場で本職の人がエアー式釘打ち機を使って『パスパスパスパス』と圧倒的な速さで釘打ちしていく爽快な光景には憧れるものの、釘打ち機はとても高価であり手が出せなかった。


 かと言って、金槌で1つ1つトンカントンカンやっている時間は無いので、インパクトドライバーに頼ることにした。


 私には圧倒的なパワーを誇るインパクトドライバー相棒がいるのだ。


 度々世話になっているインパクトドライバーには感謝しかない。この小屋が完成した暁には、小屋に神棚を作ってこのインパクトドライバーを祭りたいとすら思っている。


◇  ◇  ◇


 壁パネルはまず簡単な形をしている、窓の開口部が無い短辺の下部壁パネルから作成していくことにした。


 作業場所である床の上で枠材を仮組みし、上辺・下辺の木材をメジャーで測って、他の枠材と接合する部分に鉛筆で墨線をつけていく。


 次にビス留めする箇所に下穴を開けてから、その箇所にコーススレッドを打ち込んでいく。


 壁枠はなるべく精確な直角に接合できるようにビス打ちして行きたいが、ホームセンターで買ってきた2×4ツーバイ材は多少ねじれている。


 そのため端材を使って製作した『枠材をちょうどはさみ込む冶具』を使ってねじれを修正しつつ、コーススレッドで止めて行く。


 最初の壁枠なのでだいぶ時間が掛かってしまったが、無事完成した。


◇  ◇  ◇


 次は窓のある方の短辺を作成して行くが、こちらは少々複雑な作業となる。


 窓を作るためには開口部が必要となるが、壁パネルに開口部を作ることで生じる強度低下を防ぐため、開口部の上側に『まぐさ』と呼ばれる横材を追加し、さらに開口部の左右に『まぐさ』の重量を支える『まぐさ受け』を作る必要がある。また下側にも『窓台』と呼ばれる横材を追加する。


 使用する木材は全て用意済みの2×4ツーバイ材であり、それらを設計図通りの位置に置いて接合していくだけの作業なのだが、木材を直角に固定し隙間ができない様にしていく作業はなかなか手間がかった。


◇  ◇  ◇


 正午頃、


 そろそろ2枚目の壁枠が出来そうだと思っていたところにパラパラと小粒の雨が降り出した。


 スマホの雨雲レーダーでみると、うっすらと薄い雨雲がこちらへ向かっていることがわかったので、急遽ブルーシートで作業中の木材を覆った。


◇  ◇  ◇


 昼食を摂りつつ、雨をやり過ごす。


 今回の雨は降水量も少なく、すぐ止む様なので特に問題にはならないだろうが、今後の雨が心配になる。


 雨雲が通り過ぎた後、必要最低限の資材だけを資材置き場から出し、すぐに雨仕舞い出来る様にしつつ作業を再開した。


◇  ◇  ◇


 夕方、5枚目の壁枠に着手し始めた頃、雨が降り出した。


 この雨もパラパラ降る程度の小雨ですぐ止む予報だったが、木材を濡らしたくないので無理はせず、今日の作業を終えることにした。


◇  ◇  ◇

--経過--

進入路の工事      完了

資材の購入(基礎・土台)完了

資材置場(仮)の建設  完了

基礎工事        完了

資材の購入(床材・壁材)完了

土台          完了

床の施工        完了

資材の購入(屋根材)  完了

壁の施工        進行中

 枠材の準備      完了

 壁枠の作成      進行中

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