第16話 開拓11日目-大雨の日-

◇  ◇  ◇


[ 開拓11日目 ]


 夜間に降った雨は激しかった。


 深夜頃には時折強い風も吹き、暴風に煽られてテントポールが折れそうになる時があり、テントポールが折れないようにテントの中から必死に支えた。たった3000円で買った格安テントではあるが、もしこのテントが無くなれば生活の拠点を失ってしまうので一大事だ。


 また暴風でテントの外を覆う『フライシート』が飛んでいかないか心配だったが、なんとか耐え切った。テント付属のオマケみたいなアルミペグはあまりにも脆弱そうだったため、後にホームセンターで売っていた1本70円ほどの鉄製のロープ止めに交換し、それを更にコンクリートブロックで押さえつけるというガチガチな暴風対策をとっていた事が功を奏したのではないかと思われる。


 しかし、染み込むような雨漏りだけは防げなかった。このテントは一般的なテントと同じく、フライシートとインナーテントの間に十分な空間を設けることで雨漏りしない仕組みになっているが、風に煽られ両者がひっついてしまう事で雨漏りが生じた。そのため定期的にインナーテントをタオルで拭いて雨漏りをしのぐ作業も強いられたのである。


◇  ◇  ◇


[ 雨の中の見回り ]


 朝になっても引き続き雨は止まなかったが、外の状態が心配だったためレインウェアを着込んで様子を見に行くことにした。


 建築エリアのブルーシートは無事だったが、雨水は地面を伝ってブルーシートの下の基礎に相当流れ込んでいた。建築エリアは斜面になっている場所を選んでおり、なおかつ排水のために溝を掘っていたので被害は抑えられたが、それでもかなりの雨水が流入してしまっている事が予想された。


 基礎の固定に使ったモルタルは乾燥させていく過程で強度が高まっていくという性質があるため、なるべく吸水させたくなかったが、もはやどうしようもない。致命的な結果にならないことを天に祈るほかない。


 その他、資材や工具箱の様子を確認しに行くと、それらはコンクリートブロッグで底上げしておいたこともあって下からの浸水は無く大丈夫そうだった。また土地の周辺を確認していくと林道が所どころ川の様になっていた。


◇  ◇  ◇


 昼頃になって雨脚は弱まったがシトシトした雨は降り続いたため今日の作業は備品の移動や整理だけに留めることにした。


 本当は1日も作業時間を無駄にしたく無かったが、木材を濡らしたくないので仕方がない。これからの作業は土台に使う木材の加工となるのだが、木材が濡れてしまうと腐食や変形のリスクにつながるためなるべく避けたいが為である。一度雨に濡れるとその後に乾燥させるという時間も必要になってしまう。


◇  ◇  ◇


 時間が余ったので今後の作業について計画をもう一度見直し再検討する。

 今後の作業を順にまとめると以下の様になる。


 ① 土台の施工

 ② 床の施工

 ③ 壁の施工

 ④ 屋根の施工


 今月中の目標としては最低限の雨風を凌げるレベルまで小屋を完成させることだ。もし時間が余れば内装や外壁の作業まで行いたいが、これまでの作業スピード的に考えて難しいと思われる。


 今月中の作業が終わればその後は週末DIYスタイルに移行し、時間が取れた時においおい作業を進めていく予定である。


◇  ◇  ◇

 

 雨は20時頃に止んだが、貴重な1日が過ぎてしまったことに焦りを感じる。


 明日は雨の被害状況を確認してあと、土台の木材加工に着手したい所である。


◇  ◇  ◇

--経過--

進入路の工事        完了

資材の購入(基礎・床材)  完了

資材置場(仮)の建設    完了

基礎工事          完了

土台            NEXT

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