第29話 開拓21日目 休養、道具のメンテナンス

◇  ◇  ◇

 

 小屋を完成させたのちに是非やってみたいことが一つある。


 に入ることだ。


 私がこの誰もいない滋賀県山中に土地を買って、小屋を作る理由の5%ぐらいはドラム缶風呂に入るためと言っていいだろう。


 ドラム缶風呂が設置してある幾つかのキャンプ場には行ったことはあるが、実際に入ったことはまだ一度もない。なぜなら、キャンプ場にある様なドラム缶風呂はプライバシーと開放感の両立が難しい存在であるからだ。開放的すぎる場所は他人の目が気になるし、塀に囲まれた場所は開放感がなくて味気ない。


 しかしこの山中には自分以外誰も居ないので大丈夫だ。


 小屋が出来た暁にはドラム缶風呂を設置し、存分に本当の露天風呂を楽しみたいと考えている。


◇  ◇  ◇


[ 開拓21日目 ]


 朝から空は曇っており、空気が湿気を含み重く感じた。


 天気予報では今日は一日中降水確率が高く、散発的に雨が降る可能性が高いという予報となっていた。


 まだ雨が降っていないため朝のうちから、壁パネルを床の上に立てていく『壁起こし』作業に着手することも出来なくは無いが、作業途中に雨に降られてその都度雨仕舞いする羽目になることは面倒で避けたかったので、壁起こし作業はまだしないことにした。


 代わりにこれまで使ってきた工具たちのメンテナンスを行うことにする。


◇  ◇  ◇


 今回の小屋づくり向けて、ほどんどを中古で購入し事前に揃えておいた工具たちは多少の汚れや傷は付いてしまったものの、これまで1つも壊れることなく役目を果たしてくれている。


 まず一番世話になっているインパクトドライバーを中性洗剤を薄めて絞ったタオルで拭き、汚れを落として行く。内部も開けて分解清掃したいところではあるが、清掃後にうまく戻せなくかもしれないので今日は行わないことにする。今回の小家作りが全て終われば、いずれ行ってあげたいところだ。


 細かい木屑や埃が大量に付着している電気丸ノコも同じ様に外側を拭いて清掃していく。この丸ノコのブレードは消耗品なので、使用し続けていると切れ味が落ちいくそうなのだが、今のところ切れ味の劣化は感じていない。換えのブレードも念の為準備しているが、今回の小家づくりでは必要なさそうである。


 1ヶ月間の長期レンタルしている軽自動車も食器洗い用の中性洗剤を使って洗車する。この軽自動車はシルバー色の車体だったので遠目から見るとあまり汚れは目立ってはいなかったが、近くで見ると車体は白茶色の砂埃でボディ全体が覆われており、指で撫ぜると絵が描けるぐらいに汚れていたのであった。


◇  ◇  ◇


 道具の清掃作業を終えた後もまだ雨は降っておらず、続けて屋外で作業することも出来なくはなかった。

 

 壁の施工の次に行う、屋根の施工に向けて木材を加工しておくかどうか迷うところではあったが、今日のところはやめておくことにした。


 残りの工事期間にはまだ余裕はあるため急ぐ必要はなく、しっかり休養を取るということも大事だからだ。中途半端に作業を始めるとその後片付けも必要となり、結局疲れる羽目になってしまうだろう。


 今日はあくまでも『明日の壁起こしに備えてコンディションを整える日にする』と理由付けして自分を納得させ、明日の壁起こしに備えることとした。


◇  ◇  ◇


--経過--

進入路の工事       完了

資材の購入(基礎・土台) 完了

資材置場(仮)の建設   完了

基礎工事         完了

資材の購入(床材・壁材) 完了

土台           完了

床の施工         完了

資材の購入(屋根材)   完了

壁の施工         完了

 壁パネルの作成     完了

 壁起こし        NEXT

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る