本当の大切さに気づくのは失くしそうになった時ではありませんか?

「あの海に落ちた月に触れる」から6年。

この「南風に背中を押されて触れる」では、
15歳だった少年は21歳になっています。
相変わらず軽薄さを纏って、
一番大切な人には触れられずにいる、行人。

けれど、様々な事柄や事件によって
まさに押し出される様にして、
やっと自分の本当に大切な人や心と向き合わなければならなくなるのです。

人が本当に動き出す時と言うのは、
大切なものを失くしそうな時なのかもしれません。

他の郷倉四季さんの作品を読んだものとしては、
知っている登場人物が思わぬ形で関わってくるのが、この作品だと思います。

いえ、この作品から読んだ人にとっては
私とは違って、この作品に出ている人が
違う作品で「この人はあの時の!?」という感情になるのでしょうね。
それもまた違った楽しみ方になりそうで、
羨ましいです。

大切な人や心と向き合うことは決して
簡単ではありません。
(特にこの年齢の彼らには)

けれど、失くしてしまう前に
気づかなければ
一生触れられず去ってしまうのです。

それを気づかせてくれるものが、
例え痛みや苦しみであっても
背中を押してくれる何かがあるのは
とても幸せなことだと私は思います。

そして、
この物語があなたにとっての背中を押してくれる存在になってくれるかもしれません。

気づいた時には遅かった…とはならぬ様に、
こちらを読んでみてはいかがでしょうか?


分かっているつもりでも、
分かっていなかった大切な人や心に
改めて気づかせてもらえる物語だと思います。


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