第3公 なまえを決めよう

 性別が分からない。このモフモフの名前は何にしよう。


「なあ、春香…コイツの名前どうするよ…?」


 夜行性のモフモフは、いつの間にかか、ケージの隅に置いてあげた、『おうち』の中でご就寝なさっていた。すまないな、人間様は基本的に昼間活動するんだ。巻き込んでしまって申し訳ない。


「んー。男の子か女の子か分かんないんでしょ? それならマツコとかどう?」


 嫁よ…それは中々いいアイデアではないか。俺は、性別の区別がつかない場合、最も適した名前はマツコだとその瞬間思った。言われてみれば、まん丸の体型もマツコそのものじゃないか。


「モフモフよ! お前の名前はマツコだ! キンクマハムスターのマツコだ! 俺は、お前には性別の壁を乗り越えて、たくましく成長してくれることを祈っておるぞ!」


 俺は、スヤスヤと眠るマツコを覗き込んで言った。もう俺の目には、『おうち』の中にデラックスが寝てるとしか思えなくなってしまった。たくさん食べて、大きくなるんだぞ。

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