第12公 はむなぷとら

「ねぇ、ちょっと……! さっきペットショップにヤバイ物が売っていたから買って来ちゃった!」


 嫁よ……いつもに増してご機嫌じゃないか。 俺は嬉しいぞ。


「どうしたんだ?」


「コレよ!」


 嫁は、バッグの中から勢いよく何かを取り出した。


「こっ……これはぁ!」


 余りにも衝撃的な物であった。


 なんと、俺ら夫婦が以前より愛してやまない『ハムナプトラ奮闘記』の大人気キャラクター……中性的な性格と風貌、総受けの『亜房あぼう先生』がデザインされた小さな箱。


「小動物のおやつです」と注意書きがされている。


「限定コラボらしいよ。マツコとIKKOが喜ぶんじゃないかって思ったの……!」


『ハム』と『ハムナプトラ奮闘記』のコラボとは胸熱ではないか。早速、箱をこじ開けて中を見てみると、そこには、亜房先生が描かれたクッキーが2枚入っていた。


 俺と嫁は、色んな意味でマツコとIKKOの好物だろうと確信する。


『あらちょっと何コレ!? 色白で美味しそうじゃない!』


『どんだけ〜! か・わ・い・い!』


 きっと、二人が見ればこう言う筈だ。


 そして、ドキドキハラハラを抑えきれずに、ケージに、クッキーとなってしまった亜房先生を投入する。小さな小屋でスヤスヤとお眠りになっていた筈の二人は、夜行性である事も忘れ、匂いに釣られてお目覚めになった。


 大きく伸びをしながら、亜房先生に向かって一直線。


 すまない、亜房先生……!


 うちらの可愛いオネェ達の食料になってくれ……!


『ヤバイヤバイヤバイ! これ超美味い! 今まで喰って来た男で間違いなく一番よコレは!』


『どんだけ〜』


 どうやら二人はご満悦の様子だ。


「マツコ、頭から丸かじりしてるわよ! 亜房先生が死んじゃう〜!」


 嫁も嬉しそうだ。


 また、一方のIKKOは、下半身から丁寧に食べていた。

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キンクマハムスターと俺の嫁 ぷいゔぃとん @kapu_m

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