キンクマハムスターと俺の嫁

ぷいゔぃとん

第1公 その名はキンクマ!

「隊長! これはヤバイと思われますが!?」


「隊員よ! ダメだ! 見てはならぬ…見ては…!」


 俺らは今、人生最大の危機に直面していた。俺と、嫁の春香はるかは、なんとなく訪れたペットショップにて、とんでもない物を目にしてしまったのだ。


 キンクマハムスターと呼ばれる種類のハムスターをご存知だろうか?


 通称キンクマ。キンクマか…。誰がキンクマと名付けたのかは存じあげないが、見事なネーミングセンスだ。『金のクマ』と言えば『金のクマ』なんだが、我々が想像するクマさんの獰猛どうもうさなど、微塵も感じられない。俺らはハートを見事に射抜かれた。


「隊長! ここにハムスター飼育セットが売られているでありますっ!」


 ペットショップめ! なんて卑怯な手段を。飼育セットなど、こんな可愛い物体の横に置くではない。このモフモフ野郎を我が家に迎えたくなるではないか。嫁も脳内で葛藤を繰り広げているようだ。


「隊員よ! これは卑劣な罠だっ! 決して見つめては…見つめてはならぬ…! なっ!? うぉぉぉおおお!」


 なんと、キンクマハムスターがパントマイムを始めやがった! ガラスのケージであることを利用して! 手をペタペタと! なんだ、あのピンク色の可愛い手は! 肉球は! つぶらな瞳は!


「隊長! この子はウチに来たいみたいです! あんなに一生懸命アピールしているじゃありませんか!」


「隊員よ! ここは我々の負けのようだ!」


「はいっ、隊長!」


 こうして、我が家にキンクマハムスターがやってきた。


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